1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454496
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
天笠 光雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00014332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 英治 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20221541)
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (10126211)
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Keywords | 骨形成因子 / 器官培養 / インシュリン / 骨折治癒 / ラット頭蓋骨 |
Research Abstract |
1.ラット胎児頭蓋骨を用いた骨形成器官培養系の確立: (1)ステンレス網上で頭蓋骨を振盪培養すると、骨中カルシウム含有量および組織重量が増加した。したがって網上で振盪培養するという好気的環境は骨形成を促進することが明らかになった。 (2)またこの系においては、骨中のカルシウム含有量、組織重量、培地中の乳酸産生量の3つの指標を調べることにより、失活骨における異所性石灰化と生活骨の骨形成とを区別できるようになった。(3)この条件下で基本的な骨形成が起きることが判明したので以後の実験の対照として用いた。 2.インシュリン等の骨形成因子の骨形成に対する効果の解明: (1)上記の骨形成器官培養系を用いて、インシュリン(10^<6->M)に骨形成作用のあることを、初めて有意に明らかにした。 (2)インシュリン様成長因子(IGF-I)についても同様に調べたところ、インシュリンはIGF-I受容体を介して作用することが示唆された。 (3)上皮成長因子(EGF)の骨吸収作用についても調べたところ、本培養法が骨吸収作用解明の手段としても有用であることが示された。 3.試験管内骨折治癒の成立: (1)本官培養法を用いて試験管内での骨折過程を明らかにすることに成功した。 (2)またインシュリンの欠乏は骨折治癒を遅延させることが判明した。 本培養法は試験管内での骨形成に成功した画期的なものであり、従来の方法に比べ感度が高く再現性に優れており、骨形成因子の骨形成に対する効果の解明ばかりでなく、骨折治癒過程の解明にも非常に有用であると思われる。今後、この系を用いて、さらに骨形成機能の解明を続けていく方針である。
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