1992 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子、腫瘍マーカーの増幅を指標とした口腔癌の生物学的悪性度と癌治療への応用
Project/Area Number |
04454509
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小田島 哲世 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00177239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 敏一 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30230634)
平田 章二 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50218781)
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Keywords | 口腔癌 / 癌遺伝子 / 腫瘍マーカー / 悪性度 |
Research Abstract |
1.口腔粘膜偏平上皮癌における癌抑制遺伝子P-53の点突然変異、蛋白レベルにおける発現と悪性度 蛋白レベルでは口腔偏平上皮癌45例中29例、64.4%にP-53の免疫活性が陽性であった。P-53の免疫活性の陽性率は所属リンパ節転移との間には相関は認められなかったが、T分類ではT1とT2で24.1%(7/29)、T3とT4で75.8%(22/29)、Stage分類ではI期とII期で34.4%(10/29)、III期とIV期で65.5%(19/29)で、大きい腫瘍、Stageの進行した症例で高かった。また、組織レベルにおけるP-53の免疫活性の陽性率は分化度では有意の差は認めらなかったが、圧排性に増殖する型の癌で41.3%(12/29)、浸潤性に増殖する型の癌で58.6%(17/29)であった。悪性度のマーカーである増殖性細胞核抗原PCNAの標識率とP-53の免疫活性の陽性率との間には相関する傾向が認められ、総じてP-53の免疫活性陽性症例は悪性度が高く、P-53は予後因子となりうることが示唆された。 PCR-SSCP法による口腔偏平上皮癌におけるP-53の点突然変異は6例中2例(33.3%)に認められており、さらに多数例について応用できるよう、現在、放射性同位元素を用いない方法でP-53の点突然変異の発現を検索している。 2.口腔粘膜偏平上皮癌における上皮増殖因子受容体(EGFR)、形質転換因子(TGF-α)、c-myc、c-erbB2、int-2、hst-1の発現と悪性度 免疫組織化学的にEGFRは正常偏平上皮でよく発現し、癌では活性が消失する傾向があり、c-mycは正常、癌ともに陽性、c-erbB2はc-mycと逆相関し、悪性度判定のマーカーとしては否定的である。一方、TGF-αは癌で多く発現する傾向があり悪性度との関係が示唆される。転写レベルではint-2、hst-1の増幅が口腔偏平上皮癌で見られる例があり、現在、悪性度との関係で症例を重ねて検索している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yokoi,T.,et al.: "Some properties of a newly established human cell line derived from a oral squamous cell carcinoma." Tumor Res.25. 93-103 (1990)
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[Publications] Odajima,T.,et al.: "Electron microscopic features of malignant dyskeratosis in human oral squamous cell carcinoma." Tumor Res.25. 63-68 (1990)
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[Publications] Yokoi,T.,et al.: "Establishment and characterization of two new cell lines derived from oral squamous cell carcinomas." Tissue Culture in dentistry. 27. 5-7 (1990)
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[Publications] 平田 章二,他: "口腔癌に対する腫瘍マーカーGlutathione-S-transferase-πの臨床的評価." 頭頚部腫瘍.
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[Publications] Hirata,S.,et al.: "Significance of glutathione-S-transferase(GST)-π as a tumor marker in patients with oral cancer." Cancer. 70. 2381-2387 (1992)