1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞刺激応答とくに遺伝子発現応答よりみた神経免疫協関機構の研究
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04454528
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 靖幸 北海道大学, 薬学部, 教授 (00034041)
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Keywords | 神経-免疫協関 / 神経伝達物質 / サイトカイン / アセチルコリン受容体 / インターロイキン2 / ヒトTリンパ球 / 許容効果 / インターロイキン2受容体 |
Research Abstract |
神経系の情報伝達に関与する神経伝達物質による免疫担当細胞の応答機構、また免疫系の情報伝達に関与するサイトカインの神経細胞の応答機構に関して、受容体の存在とその性質、およびその活性化に伴うタンパク質合成について遺伝子発現の点より解析した。ヒトヘルパーTリンパ球由来のJurkat細胞において、m3ムスカリン性アセチルコリン受容体およびドキセピン感受性H_1ヒスタミン受容体が存在することが明かとなった。いずれの受容体を活性化しても、コレラ毒素および百日咳毒素非感受性Gタンパク質(おそらくGq様Gタンパク質)を介してホスフォリパーゼC(PLC)を活性化させ、イノシトール3-リン酸(IP_3)を産生し〔Ca^<2+>〕iを一過性に上昇させること、さらに前初期遺伝子c-fos mRNAの発現誘導を引き起こすことが認められた。また、H_1受容体刺激とm3受容体刺激は互いにプロテインキナーゼC(PKC)を介して交差脱感作を引き起こすことが示唆された。 さらに、Tリンパ球の神経系からの調節機構を明らかにするために、ヒト末梢血リンパ球を調製し、アセチルコリン(ACh)によるインターロイキン2(IL-2)産生の調節機構について検討した。ACh単独ではIL-2産生は引き起こさなかったが、AChおよびm3受容体アゴニスト(オキソトレモリンM,Oxo-M)の前処置によってレクチン(PHA)および抗CD3抗体刺激によるIL-2産生を促進した。しかしながら、ニコチン前処置では促進されなかった。この増強機構を詳細に検討したところ、Oxo-M前処置によってTCR-CD3刺激のIL-2産生が早期より起こり量的にも多量に産生することが示唆された。さらに遺伝子発現についても検討したところ、Oxo-M前処置によってIL-2mRNA、IL-2受容体のα鎖およびβ鎖mRNAの発現量も増加していた。以上の結果より、m3受容体の活性化によってTCR/CD3によるIL-2産生およびIL-2受容体発現における翻訳活性が増強されることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 北村 佳久: "ヒトリンパ球におけるm3ムスカリン性受容体刺激のIL-2産生増強" 神経化学. 31. 380-381 (1992)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura: "The regulation of 〔Ca^<2+>〕i by H_1-histamine receptors in Jurkat cells,cloned human T lymphocytes." The Japanese Journal of Pharmacology. 58 supp. 206 (1992)
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[Publications] Rei Imaizumi: "Inducible type of nitric oxide svnthase(NOS) in in rat brain." Neuroscience Research. 17 Supp. S150 (1992)
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[Publications] Atsuhiro Miyazaki: "Characterization of 〔^3H〕staurosporine binding in protein kinase C-II purified from rat brain." Neurochemistry International. (1992)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura: "Inducible type of nitric oxide svnthase (NOS) in rat glial cells." The Japanese Journal of Pharmacology. 61 Supp. (1993)
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[Publications] Toshio Kaneda: "Presence of m3 receptors and increase of 〔Ca^<2+>〕i in Jurkat, a human leukemic helper T lymphocyte line." Molecular Pharmacology. 43. (1993)
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[Publications] 野村 靖幸: "神経による免疫制御-T細胞のアセチルコリン受容体応答機能- in 『BIO medica』" 北隆館, 5 (1992)