1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞刺激応答とくに遺伝子発現応答よりみた神経免疫協関機構の研究
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04454528
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 靖幸 北海道大学, 薬学部, 教授 (00034041)
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Keywords | NG 108-15細胞 / 神経突起伸展 / TA-20 / グリア細胞 / エンドトキシン / サイトカイン / 一酸化窒素合成酵素 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
神経モデル細胞株NG108-15においてDBu-cAMP(Aキナーゼ活性化薬)およびTPA(Cキナーゼ活性化薬)刺激によってGAP-43 mRNA発現が増加し、突起伸展が引き起こされることを明らかにした。この時、突起伸展に関与する新規遺伝子TA-20を見い出し、そのクローニングに成功した。さらに、GAP-43あるいはTA-20遺伝子をNG 108-15細胞にトランスフェクトし、その機能について検討した。その結果、TA-20は長い突起伸展誘導に関与し、GAP-43は伸展形成維持に関与することが推定された。 脳における免疫担当細胞と考えられているグリア細胞においてエンドトキシン(LPS)刺激によって分子量13万の一酸化窒素合成酵素(i-NOS)が誘導され、Ca^<2+>非依存的に大量のNOが産生されることを見い出した。LPSによるi-NOSの誘導はアクチノマイシンD(mRNA合成阻害薬)、シクロヘキシミド(蛋白質合成阻害薬)およびデキサメサゾン(抗炎症性ステロイド)処置によって完全に抑制されることから、この誘導には新たな遺伝子発現が必要であることが示唆された。グリア細胞のLPS刺激によって分子量12万の蛋白質がチロシンリン酸化され、i-NOS誘導がハービマイシンA(チロシンキナーゼ抑制薬)およびホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼCによって抑制された。このことからLPSはCD14様蛋白質を介してチロシンキナーゼを活性化させ、i-NOSを誘導することが推定された。さらに、誘導されたNOSを染色するとミクログリア細胞が強く染色され、アストログリア細胞も弱いながら染色された。また、NO産生するニトロプルシッド(SNP)によって神経細胞死が引き起こされたが、DBu-cGMP(Gキナーゼ活性化薬)では細胞死は起きないことを見い出した。さらに、SNPによってグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)がADPリボシル化が増強された。以上の結果から、NOによる神経細胞死には、Gキナーゼの活性化は関与せず、GAPDHなどのADPリボシル化が関与することが推定された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Toshio Kaneda: "Presence of m3 receptors and increase of [Ca^<2+>]i in Jurkat,a human leukemic helper T lymphocyte cell line" Molecular Pharmacology. 43. 356-364 (1993)
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[Publications] Hiraku Akiho: "Decrease in coupling of G_S in v-src-transformed NIH-3T3 fibroblasts" Archives of Biochemistry and Biophysics. 304. 235-241 (1993)
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[Publications] Yasuyuki Nomura: "Inducible nitric oxide synthase in glial cells" Neuroscience Research. 18. 103-107 (1993)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura: "Suppressive effects of FK-506 against MPTP-induced dopamine depletion in C57BL/6 mice" Jounal of Neuroimmunology. (in press). (1994)
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[Publications] 野村靖幸: "神経による免疫制御-T細胞のアセチルコリン受容体応答機能-" BIOmedica. 7(13). 20-25 (1993)
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[Publications] 野村靖幸: "ニューロン死の病態分子薬理" 病態生理. 12(3). 230-232 (1993)
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[Publications] 野村靖幸: "神経毒によるニューロン死の機構-アポトーシス関与の可能性-" 実験医学. 11(17). 74-79 (1993)