甲状腺ホルモン作用における選択的作用発現調節機構に関する研究

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04454558
• Research Institution: Shinshu University
• Principal Investigator: 橋爪 潔志 信州大学, 医学部, 教授 (60092889)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 市川 和夫 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (40159835)
• Keywords: 核受容体 / 甲状腺ホルモン受容体 / 分化 / 脱癌化 / 甲状腺ホルモン結合蛋白 / ビタミンD

Research Abstract

甲状腺ホルモン受容体は核受容体群の一つとして知られ,標的組織の増殖,分化を調節する重要な働きを持っている。先に研究者らは細胞内ホルモン輸送蛋白としてのNADPH-依存性甲状腺ホルモン結合蛋白を単離した。この蛋白が単に細胞内ホルモン貯溜機能を有するのではなく,細胞分化にも深くかかわっていることを証明した。
更にこの蛋白はこれら核受容体ファミリーのいずれによっても誘導される。特に甲状腺ホルモン受容体とVitamin D_3受容体による誘導は正常細胞よりもむしろ悪性細胞で顕著であった。この作用はこれらのホルモン受容体が悪性細胞における分化機能の抑制を解除することを意味し,悪性疾患の治療という意味では極めて重要である。
以上,甲状腺ホルモンがその受容体を介して分化と増殖の選択的作用を示すことを正常細胞と悪性細胞で比較することにより証明した。

Research Products

• [Publications] Ichikawa K,Hashizume K: "Recognition of a 56KDa protein in partially pcerified rat bepatic nuclear thyroid hormonerecentor" Endocrinol Japonica. 39. 203-207 (1993)
• [Publications] Nishii Y,Hashizume K: "Induction of CTBp by T_3 in primary cultured rat bepatocytes" Endocrine Journal. 40. 399-404 (1993)
• [Publications] Nishii Y,Hashizume K: "N-butyrato enharces induction of thyroid hormone-responsive protein" Endocrine Journal. 40. 515-529 (1993)