1992 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤ペプチドホルモン産生細胞の分化に関わるホメオボックス遺伝子のクローニング
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04454559
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 法博 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10221615)
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (80174308)
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Keywords | POU-domain protein / ホメオボックス / 胎盤 / 0ct-1 / Pit-1 |
Research Abstract |
下垂体でのGH、TSH、PRL遺伝子の発現にPOU遺伝子の1つであるPit1が関与している。胎盤で産生・分泌されるhPL、hCGの1次構造はそれぞれGH、TSHと相同性が高いことから、胎盤におけるPit1遺伝子の発現を検討した。初めに、Pit1 cDNAを得る目的で、ヒトとラットの下垂体よりmRNAを抽出し、ラットPit1のホメオボックスドメインの塩基配列をもとに作製したプライマーを用いてRT-PCRを行った。増幅産物をpCR1000ベクターにクローニングしSanger法で塩基配列を決定した。ヒトのcDNAについてはRACE(RapidA mplification of cDNA End)法を用いてcDNAの全翻訳領域をクローニングし、塩基配列を決定した。ヒトとラットのPit1の1次構造は極めて相同性が高かった。 得られたcDNAをプローベとして、胎盤におけるPit1遺伝子の発現をノーザンブロット法を用いて検討したが、ヒト、ラットともに胎盤ではPit1の発現は認められなかった。hPL、hCG分泌細胞の分化、増殖にはPit1以外の転写因子が関わっている可能性が示唆された。 そこで、胎盤での新たなPOU遺伝子の発現の有無を検討する目的で、上述のプライマーを用いて、annealing温度を下げたlow stringentな条件でRT-PCRを行ったところ、ラット胎盤のmRNAから増幅産物が得られた。このcDNAの塩基配列を決めたところ、増幅されたcDNAはPOUファミリーに属するOct1cDNAだった。Oct1遺伝子発現の組織特異性を検討する目的で、成熟ラッ トの視床下部、下垂体、甲状腺、胸腺、膵、副腎、精巣、卵巣、子宮、胎盤、脱落膜、大脳、小脳、心、肺、肝、腎、脾、小腸、骨格筋、耳下腺、顎下腺の各臓器からRNAを抽出し、RT-PCRを行った。その結果、Oct1遺伝子の発現は胎盤特異的ではなく、成熟ラットの多くの臓器でその発現が認められた。これまでにOct1 cDNAの塩基配列はヒト、ニワトリ、マウス、ラットで報告があるが、我々がクローニングしたラットOct1の塩基配列は従来の報告と完全には一致せず、ラットにおいて複数のOct1類似遺伝子の存在が示唆された。
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[Publications] F.Kambe: "The POU-domain protein Oct-1 is widely expressed in adult rat organs." Biochimica et Biophysica Acta. 1171. 307-310 (1993)
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[Publications] S.Tsukahara: "Cloning of the human Pit-1 POU-box." Environmental Medicine. 36. 55-58 (1992)