1992 Fiscal Year Annual Research Report
解糖、糖新生酵素遺伝子の調節領域に対するインスリン作用機転と糖尿病病態との関連
Project/Area Number |
04454561
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 典夫 大阪大学, 医学部, 助教授 (30093412)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶺尾 郁夫 大阪大学, 医学部, 助手
花房 俊昭 大阪大学, 医学部, 助手 (60164886)
|
Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / 遺伝子調節 / インスリン作用 / ホスホフルクトキナーゼ / 遺伝子クローニング / 解糖系 / 糖新生系 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内分子機構の分析からインスリン非依存性糖尿病患者におけるインスリン抵抗性の原因を解明することを目的としている。本研究の理論的背景のひとつとして、研究代表者はVMH破壊GKラットにおけるインスリン抵抗性は解糖系・糖新生系がともに亢進し、ネットの肝糖放出は亢進している病態として説明できることを生化学的・分子生物学的に確認している。そこで、本研究ではまず最大のインスリン効果器官であり、主要な糖代謝臓器である肝でのインスリン作用点を糖代謝酵素の遺伝子調節の面から分析することにした。今年度の成果としてはまず肝解糖系の中間段階を律速する重要な酵素である肝型ホスホフルクトキナーゼ(PFK-L)遺伝子のクローニングが挙げられる。研究代表者らはすでにその完全長をクローニングしたラットPFK-LのcDNAを用いてラットPFK-L遺伝子を単離した。同遺伝子を分析した結果、転写開始点上流にいくつかの機能ボックスと推定される塩基配列を同定した。これらの一部については肝細胞核抽出物との結合をフットプリント法で確認した。さらに、ルシフェラーゼ遺伝子とのキメラ遺伝子を構築し、肝細胞系培養細胞への遺伝子導入をおこなった結果、クローニングに成功した領域に、機能的なプロモーターおよびエンハンサーが存在することを確認するにいたった。今後、これらのボックスを中心に、肝でのインスリン作用点との関連において本遺伝子の発現調節機構の精査が可能となったほか、逆反応をつかさどる糖新生系酵素遺伝子に対しても同様のアプローチを展開していく予定である。
|
-
[Publications] N.Itoh: "Transthyretin (prealbumin) in the pancreas and sera of newly diagnosed type I (insulin-dependent) diabetic patients." J.Clin. Endocrinol. Metab.74. 1372-1377 (1992)
-
[Publications] C.Nakagawa: "Retrovirus gag protein p30 in the islets of non-obese diabetic mice: relevance for pathogenesis of diabetes mellitus." Diabetologia. 35. 614-618 (1992)
-
[Publications] T.Matsumura: "Glucagonlike peptide-1(7-36) amide suppresses glucagon secretion and decreases cyclic AMP concentration in cultured In-R1-G9 cells." Biochem. Biophys. Res. Commun.186. 503-508 (1992)
-
[Publications] H.Nakajima: "An alternative,non-isotopic protocol of PCR-mediated allele-specific oligonucleotide analysis for the detection of a point mutation." Res. Commun. Chem. Pathol. Pharmacol.79. 3-10 (1993)
-
[Publications] K.Jinnai: "Glycogenosis type V (McArdle′s disease) with hyperuricemia. A case report and clinical investigation." Eur. Neurol.
-
[Publications] 河野 典夫: "細胞内外のインスリン抵抗性要因" 糖尿病記録号 1991. 1. 157-160 (1992)
-
[Publications] 河野 典夫: "最新内科学大系 第51巻 先天性代謝異常" 中山書店, 380 (1992)
-
[Publications] 河野 典夫: "生化学実験講座 第15巻 代謝異常" 東京化学同人, 378 (1992)