1992 Fiscal Year Annual Research Report
慢性造血器腫瘍における細胞増殖・生存・死の平衝とその制御
Project/Area Number |
04454573
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高月 清 熊本大学, 医学部, 教授 (80026830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 範雄 熊本大学, 医学部, 助手 (50175171)
藤本 幸示 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (20190069)
|
Keywords | 慢性リンパ性白血病 / 成人T細胞白血病 / T細胞受容体 / 顆粒リンパ球白血病 / EBV / アポトーシス / Fas抗原 / p53遺伝子 |
Research Abstract |
慢性リンパ性白血病は本邦では症例数が少なく、まだ十分な解析ができていないので、本年度は成人T細胞白血病(ATL)慢性型を中心に解析を進めた。ATLは通常CD4陽性の活性化T細胞の腫瘍であるが、我々はCD4陰性CD8陰性ATL例を4例見い出した。4例いづれもT細胞レセプター(TCR)αβ鎖を発現しており、CD4陽性ATLでは陰性のS100β蛋白の発現もみられ、新しいT細胞サブセット由来のATLと考えられた。CD4陰性ATLにおいてもCD4陽性例と同様に細胞表面のTCRαβの発現は低下しており、OKT3抗体によりその発現低下は増強した。この現象は他のT細胞腫瘍ではみられないことから、ATLではCD4の有無に関わらず、その発症、細胞増殖にTCRαβを介した何かの刺激が重要な役割を果たしていると考えられた。また、慢性リンパ性白血病のうち、顆粒リンパ球白血病は通常、緩やかな経過を辿るが、我々は急速な経過を示したCD8陽性顆粒リンパ球白血病例を経験し、そのDNA解析からEBVの単クローン性組み込みを証明し得た。慢性リンパ性白血病例の急性増悪にEBVが関与している可能性を示唆する興味深い知見と考えられる。一方、細胞死に関してはATLおよび慢性リンパ性白血病細胞のin vitro培養において無添加で約30%前後の細胞にDNA断片化によるアポトーシスを観察した。この過程は副腎皮質ホルモンで促進され、IL2で抑制されることも判明した。このアポトーシスが何によって制御されているか、現在解析中である。ATL細胞はアポトーシスに関与するFas抗原を全例発現するCD45Ro陽性細胞であることから、その他の分子との相互作用の検討が必要である。一方、P53遺伝子の点突然変異をATL細胞で証明したが、慢性型と急性型との経過による変化を検討中である。さらに、細胞増殖・死に関わる新しい分子の単離を染色体切断点遺伝子の単離により進めている。
|
-
[Publications] Akiko Sakashita,Kiyoshi Takatsuki,: "Mutations of the p53 qene in adult T-cell leukemia" Blood. 79. 477-480 (1992)
-
[Publications] Norio Asou,: "Inversion of chromosome 16 and marrow eosinophilia in a myelomonocytic tranformation of chronic myeloid leukemia" Cancer Genet. Cytogenet. 61. 197-200 (1992)
-
[Publications] Hitoshi Suzushima,Kiyoshi Takatsuki,: "Detection of Epstein-Barr viral DNA in aggressive CD8+ T cell leukemic cells" Brit.J.Haematol.82. 774-776 (1992)
-
[Publications] Hitoshi Suzushima,Kiyoshi Takatsuki,: "Double-Negative(CD4-,CD8-)T cells from Adult T-cell leukemia patients also have poor expressioj of the T-cell receptor αβ/CD3 complex" Blood. 81. 1032-1039 (1992)