1992 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚由来未分化細胞での染色体欠失の誘導による有効な変異マウス作成法の開発
Project/Area Number |
04454579
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
野田 哲生 (財)癌研究会, 癌研究所・細胞生物部, 部長 (10183550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 成人 (財)癌研究会癌研究所, 細胞生物部, 研究員
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Keywords | 相同遺伝子組換え / マウス胚由来未分化細胞 / ヘルペスTK遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、マウス胚由来未分化細胞(以下ES細胞)の染色体上の数100kb程度離れた2ヶ所の領域での相同遺伝子組換えを利用して、染色体欠失部を有する変異マウスを作成することを目的としている。対象とする遺伝子領域としては、すでに極めて高頻度に相同遺伝子組換えを起こすターゲティングベクターが作成されているPim-1遺伝子領域を選定した。 本年度ははず予備実験として相同組換え用ベクター内の欠失領域部の距離が組換え頻度に及ぼす影響を検討したところ、欠失部を約5kb拡大しただけで、組換え頻度は1/10以下に低下することが判明した。従って当初の計画どおりに欠失部を数100kbとした場合の組換え頻度は非常に低くなると予想された。このため相同組換えの検出効率をあらかじめ上げておくことが必要と考えられた。そこで、ヘルペスウイルスTK遺伝子をPim-1ターゲティングベクター中に挿入し、これをES細胞にトランスフェクトすることによりES細胞のPim-1遺伝子内にヘルペスTK遺伝子を導入することに成功した。こうして得られたES細胞は培養液中にガンシクロビルを加えることにより死滅することも確認された。従って、これらのES細胞では相同組換えが起きた場合に、それ以外の細胞をガンシクロビル添加により死滅させること、即ちネガティブ選択が可能となる。現在このTK陽性ES細胞を用いて染色体欠失の導入を試みている。 又、ここで導入したヘルペスウイルスTK遺伝子はマウス生体内でも発現すると考えられ、もし生体においてもネガティブ選択が可能であれば変異体作成が可能となるため、ブラストシスト内注入法によりこのES細胞からTK陽性マウスを作成し、現在このマウスにおけるネガティブ選択の条件を検討している。
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Research Products
(1 results)