1992 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴装置による運動中の筋代謝の非観血的及び連続的測定
Project/Area Number |
04454588
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 敬義 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (30097331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亘 弘 岡崎国立共同研究機講, 生理学研究所, 教授 (10079692)
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Keywords | ^<31D>P-NMR / クレアチンりん酸 / 運動 / 筋エネルギー代謝 / 長距離選手 |
Research Abstract |
^<31>P-NMRを用いて運動中の筋エネルギー代謝の変化を非観血的におよび連続的に測定して、高エネルギー燐酸および細胞内pHの動態を検討した。今年度は、運動強度別の動態の検討および選手と健常者の比較について行った。さらに、高時間分解能の検討も行った。 まず、6名の健康な男子被験者を用いて2.1Tの超伝導磁石内で、4分間の大腿屈曲運動を行った。運動強度は“0"10、20、30kgm/分とし、その後5分間の回復を行った。実験中、被験者の大腿2頭筋部においたサーフェスコイルから、0.4秒のタイムインターバルで得た自由減衰信号を32回積算して、12.8秒間の^<31>P-NMR信号を得た。その結果、運動の開始時にはクレアチン燐酸(PCr)は指数関数的に減少し、運動終了後には逆に指数関数的に増加した。これらの速さを非線形最少自乗法で求めると運動開始時には27-32秒の時定数を、運動終了時には27-40秒の時定数を示した。これらの値には運動強度による依存性は見られなかった。一方、無機燐酸(Pi)も運動開始時には指数的に増加して、一様な時定数を示したが、運動終了時には運動強度が高い程回復のスピードは遅った。 次に、長距離走者5名、短距離走者5名、健常者6名を用いて10および30kgm/分の運動強度で4分の運動を行わせた。いずれの運動強度においても長距離走者のPCrレベルは他の被験者群の値よりも有意に少なかった(PC0.05)。また、運動後のPCrの回復のスピードも長距離走者の方が有意に速かった(PC0.05)。さらに、運動後のPiの回復スピードも長距離走者で有意に速かった。(PC0.05)、一方、30kgm/分の運動強度では健常者のPiは5分の回復期間では元のレベルには戻らなかった。これらの結果は、PCr合成機構が有酸素的代謝機能に依存しているために、長距離走者の筋組織において酸化能力が高いためであると推察された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshida, T. & Watari, H.: "Noninvasive and continuous determimation of energy metabolism during muscular contraction and recovery" Medicine and Sports Science. 37. 364-373 (1992)
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[Publications] Yoshida, T. & Watari, H.: "Musclemetabolism during repeated exercise studied by 31P-MRS." The Annals of Physiological Anthroplogy. 11. 241-250 (1992)
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[Publications] Yoshida, T. & Watari, H.: "Phosphorus metabolism during step function exercise in long distance runners and sprinters." The Physiologist. 35. 207 (1992)
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[Publications] Yoshida, T. & Watari, H.: "Phosphorus metabolism during repeated exercise in long distance runners." Society of Magnetic Resonance in Medicine. 2711 (1992)
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[Publications] Yoshida, T. & Watari, H.: "Muscle metabolites in long distance runners during interval exercise." Japanese Journal of Physiology. 42. S247 (1992)
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[Publications] 亘 弘,吉田 敬義,市川 修: "ヒト骨格筋の運動・回復時における無機燐・pH変化" 生化学. 64. 1019 (1992)