1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454589
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
内山 巌雄 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 部長 (20151897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊江 隆 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 室長 (40145363)
川原 貴 東京大学, 教養学部, 助教授 (60169753)
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Keywords | 慢性疲労 / 細胞性免疫能 / ラット / ヒト / ジョギング / 主観的疲労度調査 / 好中球活性酸素産生量 |
Research Abstract |
当該年度においては、平成4年度から行っている実験動物を用いた慢性疲労の基礎的研究を発展させ、自発的な運動負荷がかかった場合についても検討した。既に報告したように、慢性疲労のモデルとして強制運動等を行わせた場合には細胞性免疫能の低下が見られていたが、自発運動の場合にはコントロールよりも免疫能が改善される傾向を見い出した。また、毎月1回、6か月間におよぶ調査に協力を申し出た某体育大学の陸上競技部に所属する長距離走選手を対象者として研究を行った。主観的な疲労感を知るためのアンケート調査として、産業疲労の自覚症状調べ、感情プロフィール(POMS)テスト、性格診断(EGO)テストを行い、同時に採血を行った。細胞性免疫能として末梢血好中球の活性酸素産生能を測定した。肉体疲労が重なり、慢性疲労状態に近付くと考えられる夏期強化合宿の前後で比較検討すると、合宿後は細胞性免疫能も低下し、血清中オプソニン活性も低下していた。しかし、細胞性免疫能の低下は1か月後ではさらに大きくなり、合宿前の状態にまで回復したのは2か月後であった。また、平成5年度にジョギング愛好者を対象者として行った調査の結果について統計的検討を加えたが、細胞性免疫能は1か月間の走り込みによる疲労の影響で低下し、終了から1か月後まで低下傾向が継続していた。しかしながら、このような場合においても主観的な疲労感の訴えは少なく、細胞性免疫能にまで影響が及んでも一般的には慢性疲労が把握し難いことが明らかとなった。 動物実験からは、自発的な肉体負荷の場合は細胞性免疫能に好影響が出ている。ヒトの場合には、自発的に行っていながら負荷が大きすぎることにより慢性疲労へ移行して行くと考えられ、細胞性免疫能への影響も好影響と悪影響が拮抗しながら出ている可能性も考えられる。現在も多核白血球遊走因子、免疫グロブリン量、補体量等の免疫に関連した項目を測定中であり、これらの測定値を統計的に処理し、慢性疲労の細胞性免疫能に及ぼす影響についてさらに詳細に考察する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鈴川一宏: "慢性疲労の細胞性免疫能への影響 第4報 成熟後に慢性疲労モデルへ移行させたラットの肺胞マクロファージ活性" 日本衛生学雑誌. 49. 278- (1994)
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[Publications] 内山巌雄: "慢性疲労の細胞性免疫能への影響 第5報 成熟後にシフトワークモデルに移行させたラットの体重及び臓器重量の変化" 産業医学. 36. S534- (1994)
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[Publications] 荒川はつ子: "慢性疲労の細胞性免疫能への影響 第6報 1ヶ月間の走り込みにおける主観的疲労度の変化" 産業医学. 36. S535- (1994)
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[Publications] 熊江 隆: "慢性疲労の細胞性免疫能への影響 第7報 1ヶ月間の走り込みが細胞性免疫能に及ぼす影響" 体力科学. 43. 542- (1994)
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[Publications] 鈴川一宏: "夏期合宿が駅伝選手の非特異免疫能に及ぼす影響" 体力科学. 43. 545- (1994)
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[Publications] 熊江 隆: "大学陸上選手の好中球活性酸素産生能と主観的疲労度との比較" 日本衛生学雑誌. 50. 419- (1995)