1992 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼ捕獲因子の2-マクログロブリンによる免疫・神経系細胞の機能制御
Project/Area Number |
04454592
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪飼 篤 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (50011713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 秀雄 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (80211704)
長田 俊哉 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (00201997)
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Keywords | α2-マクログロブリン / 抗原提示細胞 / 神経細胞 / ペプチド抗原キャリアー / 軸索伸展活性 |
Research Abstract |
α2M(α2-マクログロブリン)分子を使って免疫系、神経系細胞の機能制御を行う目的で、今年度は以下の実験を行った。 1)α2MとHIV(human immynodeficiency virus)のgp120タンパク質由来の合成ペプチドPU(アミノ酸残基308-331)の複合体を作成し、これを1グループ3匹のマウスに投与した。ペプチドPUは同量をフロイトのアジュバントあるいは緩衝液中に溶かしたものをマウスに投与した。最初の投与から3週間後、7週間後にも抗原を同様に注射した。それぞれの投与後2週間目に採血し、ELISA法にて抗体価を測定した。その結果、ペプチド単独で投与した場合には3回の免疫後もほとんどペプチドに対する特異的な抗体はできていなかった。α2Mと複合体として投与した場合には効果的に抗体が誘導されており、さらにフロイトのアジュバントを使った場合に比べても高い抗体価を示した。 2)中枢神経系において神経突起伸展作用のあるものは、いろいろと報告されている。α2Mも最近同様の活性が報告された。α2Mがどのようにして突起伸展作用を制御しているのか研究するために、レセプター結合型のα2MをFITCで蛍光ラベルして、神経細胞に加えてみた。神経細胞はラット胎生17日目の大脳皮質を酵素処理した細胞を用いた。FITC-α2Mの細胞での局在を本研究費で購入した倒立顕微鏡を用いて調べてみると、伸展途中の神経突起に多く取り込まれていることがわかった。さらに細胞体では、神経突起の根本の部分にFITC-α2Mが局在していた。神経突起部分で取り込まれたFITC-α2Mが軸索輸送によって細胞基部に運ばれていくことがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Arakawa,H.,Umemura,K.and Ikai,A.: "Protein images obtained by STM,AFM,and TEM" Nature. 358. 171-173 (1992)
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[Publications] 青木 洋祐、長谷 聖美、荒川 秀雄、猪飼 篤: "生体内におけるメダラシンとインヒビターの相互作用" 炎症. 12. 361-367 (1992)
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[Publications] Jiang,S. その他: "Nanometric Scale Biosample Observation Using a Photon Scanning Tunneling Microscope" Jap.J.of Appl.Phys.31. 2282-2287 (1992)
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[Publications] Osada,T. その他: "The Active Site Titration of Proteinases by Using α_2-Macroglobulin and High-Performance Liquid Chromatography" Anal.Biochem.207. 76-79 (1992)
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[Publications] Imai,K. その他: "Scanning Tunneling and Atomic Force Microscopy of T4 Bacteriophage and Tobacco Mosaic Virus" Jap.J.of Appl.Phys.in press. (1993)
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[Publications] Uchino,T. その他: "Isolation and Characterization of a Novel Serine Proteinase Cpmplexed with Alpha-2-macroglobulin from Prorcine Gastric Mucosa" J.Biol.Chem.268. 527-533 (1993)
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[Publications] 猪飼 篤: "基礎の生化学" 東京化学同人, 195 (1992)