1992 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸支配下の新しい成長因子ミッドカイン(MK)の研究
Project/Area Number |
04454594
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
村松 喬 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00030891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 寿子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (50182134)
松原 修一郎 鹿児島大学, 医学部, 助手 (60199841)
小澤 政之 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90136854)
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Keywords | ミッドカイン / MK / 成長因子 / ウィルムス腫瘍 / ヘパリン / レチノイン酸 / 神経栄養因子 / ヒト癌 |
Research Abstract |
MKタンパク質のトリプシン断片をHPLCにより分別した。この時蛍光標識法を用い、分光蛍光HPLCモニターが有用であった。さらに、ルードウィッヒ癌研究所の丸田博士と共同でペプチドを質量分析計によって同定した。この結果、MKの-S-S-結合の位置を決定できた。MKは-S-S-に結ばれた、2つの独立のドメインから成り、それぞれのドメインには、アミノ酸配列から考えると4本のβシート構造が存在すると予想できる。MK遺伝子を導入したトランスジェニックマウスについては作成中であり、なお検討を要するが、MK遺伝子の上流2kbをβ-ガラクトシダーゼ遺伝子につないだ合成遺伝子を導入したトランスジェニックマウスは作成した。β-ガラクトシダーゼの発現状況から、上流2kbがMK遺伝子の発生に伴う発現パターンの変化を司るのにほぼ十分であることが判明した。この2kbおよびその断片をCAT遺伝子につないでテラトカルシノーマ幹細胞F9に導入したところ、転写用始点より上流900ベースの近傍200ベースの所に、最も重要なレチノイン酸応答部位が存在することが明らかになった。I^<125>標識MKを用いたクロスリンク実験により、分子量8万の細胞膜タンパク質がMKレセプターの候補として浮び上がった。MKはウィルムス腫瘍をはじめとする多くのヒト癌に発現していた。培養ウィルムス腫瘍細胞の増殖を抗MKが阻害することから、MKはウィルムス腫瘍の増殖にかかわる内在性の因子と考えられる。なお、抗MK抗体はMKをウサギに免役して得た抗血清からMKをリガンドとするアフィニティークロマトグラフィーで精製した。Pleiotrophin(別名HB-GAM)とは50%のホモロジーを持つにもかかわらず、抗MK抗体はpleiotrophinとは反応しなかった。抗MK抗体はアルツハイマー病患者の脳の老人性プラークを特異的に染色し、MKと脳変性疾患との関連も浮び上がった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Uehara,K.: "Genomic structure of human midkine(MK),a retinoic acidresponsive growth/differentiation factor" J.Biochem.111. 563-567 (1992)
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[Publications] Nakamoto,M.: "A new family of heparin binding growth/differentiation factors:defferential expression of the midkine (MK) and HB-GAM genes during mouse embryogenesis" J.Biochem.112. 346-349 (1992)
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[Publications] Kaname,T.: "Midkine gene (MDK),a gene for prenatal differentiation and neuroregulation,maps to band 11p11.2 by fluorescence in situ hybridization" Genomics. (1993)
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[Publications] Maruta,H.: "Midkine (MK) a retinoic acid (RA)-inducible gene product produced in E.Coli acts on neuronal and HL-60 cells" Growth Factors. (1993)
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[Publications] Michikawa,M.: "Retinoic acid responsive gene product,midkine (MK) has neurotrophic functions for muose spinal cord and dorsal root ganglion neurons in culture" J.Neurosci.Res.(1993)
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[Publications] Tsutsui,J.: "A new family of heparin-binding growth/differentiation factors:increased midkine expression in Wilms' tumor and other human carcinomas" Cancer Res.(1993)