1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞-基質間の接着反応を阻害するプロテオグリカンによる細胞挙動の調整とその機構
Project/Area Number |
04454595
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
|
Keywords | 細胞接着阻害 / 細胞-基質相互作用 / コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / コンドロイチン硫酸 / PG-M / 58プロテイン / 軟骨分化 |
Research Abstract |
軟骨分化において、その開始は間充織細胞が未分化間充織細胞外マトリックス分子からまず遊離することが必須であり、本研究の課題であるPG-Mによる細胞-基質接着反応の抑制的な調整作用が大きく関与している可能性を示した。また、PG-Mの組織分布を調べたところ、軟骨分化に限らず、ダイナミックな増殖や分化途上にある殆どの間質細胞に強い合成活性が検出され、種々の組織分化や器官形成において、このプロテオグリカンによる細胞-基質間相互作用の調整が極めて重要である可能性を示唆できた。さらに、最近、cDNA解析によるPG-Mの全構造の決定に成功し、その細胞-基質間の接着反応の阻害調整作用の生物学的重要性を遺伝子工学的に解析する方法が可能になった。骨肉腫細胞MG63は、PG-Mを多量に合成し分泌する。その細胞内骨格系の発達は極めて悪く、異常であり、基質との接着は弱い。この細胞にPG-MのアンチセンスRNAを発現させてその合成量を約1/10以下にしたところ、細胞内骨格ストレスファイバーの発達が顕著になり、また細胞周辺に線状の接着班を形成して基質によく接着し、正常の繊維芽細胞に近い形態に変化した。β-キシロシドによるPG-Mのコンドロイチン硫酸鎖部分の添加抑制や、コンドロイチン硫酸鎖の特異分解酵素の培地の添加も一時的に同様な変化を細胞に与えた。つまり、PG-Mの細胞接着阻害活性が細胞の形態のような基本的な細胞現象に直接に関与していると思われる証拠を得た。従来と異なって、胚組織からPG-Mのコンドロイチン硫酸部分と結合するレセプター様分子(58Kプロテイン)を抽出し精製する方法を確立し、培養細胞層からの標品と同一分子である証拠を得た。これにより、58Kプロテインを多量に調整が可能となった。現在、単離した標品をもとに、この分子の遺伝子単離に必要な情報を解析中である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Shinomura et.al.: "Proteoglycan-Lb,a small dermatan sulfate proteoglycan expressed in embryonic chick epiphseal cartilage,is structurally related to osteoinductive factor." J.Biol.Chem.267. 9391-9397 (1992)
-
[Publications] T.Yada.et.al.: "Occurrence of collagen and proteoglycan forms of type IX collagen in chick embryo cartilage." J.Biol.Chem.267. 1265-1270 (1992)
-
[Publications] M.Arai.et.al.: "Isolation and charcterization of type IX collagen-proteoglycan from the Swarm rat chondrosarcoma" Biochem.Biophys.Acta. 1117. 60-70 (1992)
-
[Publications] M.Yamagata.et.al.: "Tissue Variation of Two Large Chondroitin Sulfate Proteoglycans (PG-M/Versican and PG-H/Aggrecan)in Chick Embryos." Anaomy and Embryology. 1993.
-
[Publications] 木全 弘治: "複合糖質(蛋白質 核酸 酵素 37 増刊)軟骨細胞の分化と異常" 共立出版株式会社, 11 (1992)
-
[Publications] 木全 弘治: "実験医学 特集「細胞外マトリックスの構築と機能発現」プロテオグリカンによる細胞接着・細胞増殖の制御" 羊土社, 8 (1992)