1993 Fiscal Year Annual Research Report
アデノシン受容体を介する細胞内情報伝達機構の分子生物学的解明
Project/Area Number |
04454603
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Research Institution | TOKYO METOROPOLITAN INSTITUTE FOR NEUROSCIENCES |
Principal Investigator |
中田 裕泰 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 副参事研究員 (00041830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 佳子 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 主事研究員 (70241263)
斉藤 修 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 主事研究員 (60241262)
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Keywords | アデノシン受容体 / プリン受容体 / クローニング / 蛋白精製 / 細胞内情報伝達 / 脱感作 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
アデノシン受容体の構造と機能を分子レベルで明らかにするため新しいアデノシン受容体の検索および受容体遺伝子発現調節の解明という二方面より研究を進めた。 1.新しいアデノシン受容体の検索と精製:マウス脳cDNAライブラリーをPCR法を利用しスクリーニングしたが、アデノシン受容体に属すると思われる新しいクローンを得ることができなかった。そこでアデノシン受容体のアゴニストの中で特異性が広い(すなわちA1、A2、A3のいずれのサブタイプとも親和性を持つ)[^3H]5'-N-ethylcarboxamidoadenosine(NECA)との結合活性を指標としてアデノシン受容体様蛋白の検索をおこなったところ既知のアデノシン受容体とは異なるアデノシン結合活性が見いだされたので、ラット脳の細胞膜より高度に精製を行った。その特異性を詳しく調べたところアデノシン受容体のアンタゴニストのキサンチン類に対して親和性がほとんどなく、アデノシンのみならずATPやADPなどのヌクレオチド類に対しては高親和性を示し、また種々のリガンドに対する特異性はこれまで報告された受容体とは異なるなど丁度アデノシン受容体とATP受容体の中間の特異性を持つ未知のアデノシン結合タンパクであることが明らかになったのでクローニングを含めさらに詳しい構造解析を検討中である。 2.アデノシン受容体発現調節現象の解析:A1、A2のアデノシン受容体をそれぞれ発現するDDT1MF-2およびPC12培養細胞を用いてアデノシン受容体の遺伝子発現調節機構の検討を行った。今年度は代表的な発現調節要因であるグルココルチコイドホルモンとアゴニストの効果を主に調べた。DDT1MF-2細胞のA1アデノシン受容体活性はデキサメサゾン添加で50%以上の活性増加を示し、受容体mRNA量の増加を伴うことが観察された。またPC12細胞はこれとは逆にA2アデノシンアゴニストの添加で数時間内に可逆的なA2受容体mRNAの減少とゆっくりとした回復が見いだされた。したがって受容体を介する機構でアデノシン受容体の遺伝子発現が調節を受けることが明らかになった。
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[Publications] Nakata,H.: "Affinity chromatography in purification of A_1 adenosine receptors." Journal of Chromatography. 597. 335-343 (1992)
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[Publications] 中田裕泰: "アデノシン受容体" レセプター基礎と臨床(朝倉書店). 466-474 (1993)
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[Publications] 中田裕泰: "可溶化および精製法" レセプター基礎と臨床(朝倉書店). 259-271 (1993)