1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454611
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
由良 隆 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (20027311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 浩禎 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (90182203)
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Keywords | 遺伝子発現 / ストレス応答 / 大腸菌 / 熱ショック蛋白貭 / 翻訳制御 / メッセンジャーRNA / σ因子 |
Research Abstract |
生物の細胞・組織・個体を高温などのストレスにさらすと、細胞レベルの応答として、進化的によく保存された一群の熱ショックタンパク質(ストレスタンパク質)の合成が一時的に誘導される。大腸菌では熱ショック遺伝子の転写に必要な転写因子σ^<32>が同定され、熱ショックタンパク質誘導合成の調節機構の一端が解明された。しかし、細胞が温度変化をどの様に感知し、細胞内で発生するシグナルをどの様に伝達し、最終的にσ^<32>の機能増幅をもたらすかは殆ど分かっていない。我々はこれ迄にσ^<32>の合成促進が翻訳段階で起こることを明らかにし、さらにσ^<32>のmRNA上の翻訳領域内に位置する2つの領域がそれぞれ正および負の調節素子として働き、相互に2次構造を形成することにより翻訳開始反応を調節するとのモデルを提出していた。σ^<32>合成を翻訳段階で本研究では調節する因子の検索と解析を中心とした熱ショック応答初期反応の分子的機構解明を目的として行なった。本年度は上記のσ^<32>をコードするmRNAの2次構造形成の重要性を具体的に検証するため、2次構造に影響を与える種々の変異体を作成しそれらの発現を詳細に調べた。その結果我々のモデルのポイントとなる重要な特性はほぼ確認することができた。さらにこの過程でmRNA上の特定の領域に関しては塩基対形成と同時に塩基配列も発現制御に重要なことを見出した。これらの結果からσ^<32>mRNAの2次構造を基本とし、且つその特定領域に結合して制御に重要な働きをする蛋白性因子が存在することが示唆された。なおこの様な因子の検索を行うための実験系をほぼ確立したので、本格的な検索を開始できる状況となった。
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