1992 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌転写促進因子群と転写酵素による協同的発現調節機構
Project/Area Number |
04454613
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牧野 耕三 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20181620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨村 光子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務職員 (80159467)
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Keywords | リン酸レギュロン / アクチベーター / PhoB / RNAポリメラーゼ / プロモーター |
Research Abstract |
本年度は大腸菌転写促進因子PhoBとRNAポリメラーゼとの相互作用に的を絞って研究を行なってきた。大腸菌ではリン酸欠乏という外界変化に応答してリン酸レギュロンという一連の遺伝子群の誘導が起こる。このリン酸レギュロンの転写のアクチベーターであるPhoB蛋白はリン酸欠乏時に上位蛋白PhoRによってリン酸化されDNA結合能とRNAポリメラーゼによる転写の活性化能を獲得する。五十嵐らはアクチベーター蛋白がプロモーター(-35および-10配列)の上流に結合する場合(例えば、CRPやOmpR)、アクチベーターとRNAポリメラーゼとの相互作用にはRNAポリメラーゼのαサブユニットのC末端側が関与しているというモデルを提唱してきている(contact site I)。PhoB蛋白の場合、この領域は転写誘導に必要なかったことから、我々はPhoBとRNAポリメラーゼとの相互作用点はRNAポリメラーゼの別のサブユニットにあるのではないかと推論した(contact site II)。PhoBとRNAポリメラーゼとの相互作用点を明らかにするために突然変異誘発剤ニトロソグアニジンにより突然変異体の分離を行ない、リン酸レギュロンの遺伝子phoAの発現がなくなったものを2株分離した。2株の変異はRNAポリメラーゼのサブユニットσ^<70>をコードしている遺伝子rpoD上にあることが明らかとなった。その変異部位は塩基配列の決定によりσ^<70>のC末端側のhelix(1)-turn-helix(2)モチーフのhelix(1)の近傍および内部にあることが判明した。この変異株では一般的遺伝子(tac,trp,lac等)の発現は正常であったが、全てのリン酸レギュロンの遺伝子群の発現は全くおこっていなかった。分離精製したRNAポリメラーゼコア酵素と野生型または変異σ^<70>によりRNAポリメラーゼホロ酵素を再構成しin vitro転写系によりこれらのホロ酵素の活性を調べた結果、変異RNAポリメラーゼはPhoB非依存性プロモーターは正常に転写したがPhoB依存性プロモーターは転写することができなかった。さらにfootprinting法を用いて、これら変異RNAポリメラーゼがPhoBが結合したDNAに結合できないことも明らかとなった。これらのことから、PhoBの場合、RNAポリメラーゼとの相互作用点はσ^<70>サブユニット上にあることを我々は提唱した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Makino,K.: "Signal transduction of the phosphate regulon in Escherichia coli mediated by phosphorylayion." Adenine Nucleotides in Cellular Energy Transfer and Signal Transduction (S.Papa,A.Azzi and J.M.Tager,eds).Birkhauser Verlag,Basel/Switzerland.191-200 (19)
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[Publications] Makino,K.: "Role of the σ^<70> subunit of RNA polymerase in transcriptional activation by activator protein PhoB in Escherichia coli." Genes & Dev.7. 149-160 (1993)
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[Publications] Kim,S-K.: "Molecular analysis of the phoH gene,belonging to the phosphate regulon in Escherichia coli." J.Bacteriol.175. 1316-1324 (1993)