1992 Fiscal Year Annual Research Report
老人性痴呆発症の環境因子の探索と社会的支援のモデル地区設定に関する研究
Project/Area Number |
04455015
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岩田 弘敏 岐阜大学, 医学部, 教授 (20021371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 貞子 中部女子短期大学, 教授
吉田 英世 岐阜大学, 医学部, 助手 (00242735)
藤田 節也 岐阜大学, 医学部, 助手 (50219010)
井奈波 良一 岐阜大学, 医学部, 助教授 (10168411)
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Keywords | 老人性痴呆 / 患者対照研究 / 生活環境 / 性格 / 地域較差 |
Research Abstract |
わが国における老人性痴呆の出現率は3-6%といわれている。岐阜県では1983年調査で3.4%で全国での平均出現予想の下限に近いが、県下を調査年度には違いがあるが地域別にみると2%のところ、6〜7%のところがあり、まちまちである。この高低較差を生み出している原因をさぐっていると、調査の方法に差があって老人性痴呆そのものの出現率の違いとは言い切れない社会的要因に左右されている面があることが分かってきた。例えば明らかに大学人とか医療関係機関からの訪問を極端に拒絶し、民生委員のみを受け入れるところがある。また、民生委員が訪問できるのは精神医学的に診断された老人性痴呆のみで、しかも重症者に偏っているところもある。軽症と思われる患者については家族が病人としての認識がなく訪問を受け付けないところもある。重症でも拒絶するところもある。このようなことから、痴呆の出現率に高低があってもその疫学的意味づけが困難であることがわかった。 そこで、明らかな患者と健康と思われる対照とで、性、年齢をマッチングして生活環境を中心とした背景に両群に差異があれば、それを発症要因(危険因子)と考えるべく調査することにした。本研究がスタートする前の1991年2月から5月にかけて岐阜県下K地区(市郡部)で保健婦活動の一環として調査することができ、患者49人にたいして性、年齢をマッチさせた2倍の98人の対照を得た。今年度まず、民生委員が把握している痴呆患者の多いS地区(市部)で調査依頼をしたが、協力を得たのは僅か40人の患者のみで、対照は性、年齢こそ凡そ類似でもマッチできない62人であった。G地区(郡部)では患者70人につき対照126人、T地区(市郡部)では患者21人につき対照42人の調査が今年度完了することができた。S地区のみは民生関係の事務員が調査したので、性格などの専門領域の聴取に難があったが、他はすべて保健婦により調査マニュアルにそっての訪問面談調査が実施できた。目下、それについて集計中である。
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