1992 Fiscal Year Annual Research Report
多核NMR分光法と近赤外分光法の無侵襲同時測定によるヒト骨格筋運動適応能力の研究
Project/Area Number |
04455029
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
荻野 孝史 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (50185526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 登志雄 国立精神, 神経センターMR室, 研究員
杉田 秀夫 国立精神, 神経センター神経研究所, 所長 (80009951)
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Keywords | phosphorus / NMR / 2テスラ / ヒト / 骨格筋 / 運動負荷 / 筋繊維型 / 適応能力 |
Research Abstract |
初年度は本研究の主要部をなす方法論を確立することを目標とし、以下の研究成果を得た。(1)超伝導磁石内で分光測定を妨害せずに作動するヒト下腿筋用の非磁性エルゴメータを設計・試作し、2テスラヒト全身用NMR装置に組み込んだ。(2)下腿三頭筋の測定に適合した^<31>PNMRコイル・プローブを設計・試作し2テスラヒト全身用NMR装置に組み込んだ。(3)試作したエルゴメータと既存の^1HNMR画像取得用ボディ・コイルを用いた運動負荷前後のヒト下腿筋の時間分解能1分のダイナミックMRIによって、設定した負荷プロトコールによってMRI画像上でコントラストの変化が検出される筋肉は腓腹筋と腓骨筋であることを確認した。(4)更に試作した^<31>PNMRコイルを組み合わせてATP、ホスホクレアチン、Pi、pH等の測定を行った。これにより以下にような注目すべき結果を得た。(1)1分程度で遂行困難となるような負荷強度では多数の被験者でPiが3つのピークに分離することが確認され、代謝的に3つのコンパートメントが存在することが示唆された。しかも、3つのピークの相対的強度は被験者により特徴的なパターンを持っていた。(2)運動開始にともない^<31>PNMRスペクトルが全体に低磁場シフトした。このシフトは運動習慣を持つ被験者で顕著であった。他の観察結果とも合わせて、環元型ミオグロビン/ヘモグロビンは常磁性を示し上記のシフトの原因となりうると推論した。さらに、(5)阻血装置を組み込み虚血負荷を加えて安静時の下腿筋の^<31>PNMRを測定し、スペクトルの低磁場シフトを確認した。(6)^1HNMRにより筋組織水・脂肪のスペクトルが運動時に^<31>PNMRに比べて磁気回転比から予測されるだけ大きくシフトすることを確認した。これらの結果から、近赤外分光法を適用するのと同等の情報(ミオグロビン/ヘモグロビンの酸化・環元状態)がNMR測定によって得られると見通しを得た。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 大仲 功一,山口 明,矢野 登志雄,荻野 孝史: "2テスラヒト全身用NMR装置を用いた^<31>P-MRSによるヒト下腿筋の代謝的不均一性の研究" 日本磁気共鳴医学会雑誌. 12 SUP2. 576- (1992)