1992 Fiscal Year Annual Research Report
迅速X線回折装置による不安定有機化合物の結晶構造解析
Project/Area Number |
04504002
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩崎 不二子 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10017329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 忠二 マックサイエンス(株), 技術開発本部, 本部長
安井 正憲 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (00201822)
|
Keywords | X線結晶構造解析 / 迅速X線回折装置 / イメージングプレート / 不安定化合物 / 有機化合物 |
Research Abstract |
X線結晶構造解析は有機化学においても必須の研究手段となっているが、現在の4軸型X線回折計では数日間の終夜連続測定を要するために、その間試料は安定な結晶状態にあることが要求される。本研究は数時間で全データの測定を完了するような汎用性のある迅速X線回折装置を開発して、不安定有機化合物のX線構造解析を可能にするべく、今年度から3年間の予定でスタートした。 1.固相反応解析のために理研で開発された実験室系で1〜3時間内で全測定が完了する、二次元検出器としてイメージングプレートを用いたワイセンベルグ型迅速X線回折装置を用いて、有機化合物の構造解析の可能性・結果の精度についての評価研究を行ない、その有用性を明らかとした。 2.上記の装置によって不安定化合物であるBi化合物、長鎖アルキルDABCO塩などの測定・解析を行ない、構造を明らかにした。 3.構造有機化学や反応機構の解明のための汎用・普及型装置開発のためには、上記の装置では多くの点で改良が必要であることが分かった。このため以下の諸点を改良した迅速X線回折装置を新たに設計した。 (1)自動軸立て機構の開発試料取り付け部のゴニオメータとしてκ型ゴニオメータを採用し、従来結晶軸の修正範囲±10°を大幅に拡大し、対象試料の状態の任意性を広げた。(2)X線発生装置の一般化 1号機ではX線発生装置も特注品であったが、今後の装置の普及・汎用性を考えて、一般的な回転対陰極強力X線発生装置に取り付け可能にするため、モノクロメータ部分の改良を図った。(3)測定角度範囲の拡大上記装置の2θの最大値は45°であるが、これを拡大することはデータの測定数を増やすために非常に望ましい。多重スクリーンを廃止し、60°まで測定可能とした。さらにμ角設定を行うことで測定領域を拡大した。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] N.Matsumura et al.: "Synthesis and Characterization of 10-Se-3 Type Selenatetraaza-pentalene Derivatives with a Hypervalent Selenium" Phosphorus,Sulfur and Silicon. 67. 135-140 (1992)
-
[Publications] M.Yasui et al.: "Structure of 2,3-Di-tert-butyl-5,6,7,8-endo-tetrahydroxy-menthyl-bicyclo[2.2.2]oct-2-ene" Acta Crystallogr.C48. 1065-1068 (1992)
-
[Publications] F.Iwasaki et al.: "An Isomeric Series of Thiophene-fused Tetracyano-quinodimethanes Tetracyanoquinodimethanes II.The Crystal and Molecular Structures" Bull.Chem Soc.Jpn.65. 2173-2179 (1992)
-
[Publications] F.Iwasaki et al.: "An Isomeric Series of Thiophene-fused Tetracyano-quinodimethanes III.Crystal Structures of Charge-transfer Complexes with TTF" Bull.Chem Soc.Jpn.65. 2180-2186 (1992)
-
[Publications] M.Yasui et al.: "An Isomeric Series of Thiophene-fused Tetracyano-quinodimethanes IV.Crystal Structure of 2:3 Charge-transfer Salt with Tetraethylammonium" Bull.Chem Soc.Jpn.65. 2187-2191 (1992)
-
[Publications] Xiang Chen et al.: "Synthesis,Structure,and Reactions of 10-Bi-4 Organobismuth Ate Complexes" Tetrahedron Letters. 33. 6653-6656 (1992)
-
[Publications] 岩崎 不二子(分担執筆): "実験化学講座第10巻回折(大橋裕二編)直接法" 丸善, 25/559 (1992)
-
[Publications] 岩崎 不二子(分担執筆): "分子性結晶の反応(大橋裕二編)硫黄原子の関与する特異な分子内.分子間相互作用" リアライズ社, 10/342 (1992)