1992 Fiscal Year Annual Research Report
精密原子間距離測定を目的とした固体高分解能NMRシステムの開発
Project/Area Number |
04554017
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30100150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 高志 大塚電子(株), 基礎開発部, 部員
辻 暁 姫路工業大学, 理学部, 助手 (60227387)
内藤 晶 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (80172245)
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Keywords | 固体高分解能NMR / 回転エコー二重共鳴 / 原子間距離測定 / バクテリオロドプシン |
Research Abstract |
本研究計画における原子間距離測定は、マジック角回転による高分解能NMRの測定条件下で、回転エコーの再結像を妨げる種々のパルス系列により、問題としている双極子相互作用の選択的な復活に依存している。この目的のために、本年度は(1)マジック回転速度の安定化のための高精度スピナーの改良、(2)三重共鳴プローブの導入と回転エコー二重共鳴信号の観測、(3)バクテリオロドプシンの安定同位体標識、(4)双極子相互作用を効果的に観測するための低温測定システムの開発の4項目についての研究を行った。ストロボによる回転速度の計測とそのフィードバックにより、第一の点は解決した。さらに、三重共鳴プローブを用いた回転エコー二重共鳴の実験は、アミノ窒素とカルボキシル炭素をそれぞれ ^<13>Cと ^<15>Nで二重標識したグリシンおよびそのカドミウム錯体を用いて検討し、両者の間の原子間距離を精密測定が可能な条件を調べた。基礎的条件の検討の結果、それぞれ ^<15>Nおよび ^<13>C信号の観測によるREDORおよびUNREDORの信号強度変化から、0.02Aにおよぶ精度での距離測定が可能であることを明らかにした。さらに、フリーグリシンにくらべ錯形成により問題の原子間距離が0.30A短縮することを見いだした。第三のバクテリオロドプシンの ^<13>C標識については、主としてアラニン、ロイシン等について検討し、NMR信号位置から標識された部位のコンホメーションに関する知見がえられることを明かにした。最後の低温システムは装置のセットアップを終了し、REDOR実験に関する詳細な条件検討は来年度の予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 斉藤 肇: "固体高分解能NMRによる距離測定" 化学. 48. 220-221 (1993)
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[Publications] S.Tuzi: "A High-resolution Solid-state ^<13>C NMR Study on Crystalline Bovine Heart Cytochrome C Oxidase and Lysozyme:Dynamic Behavior of Protein and Detergent inthe Complex" European Journal of Biochemistry. 208. 713-720 (1992)
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[Publications] H.Saito: "Viscoelasticity of Biomaterials" American Chemical Society, 15 (1992)