1994 Fiscal Year Annual Research Report
精密原子間距離測定を目的とした固体高分解能NMRシステムの開発
Project/Area Number |
04554017
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30100150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 高志 大塚電子, 基礎開発部, 研究員
辻 暁 姫路工業大学, 理学部, 助手 (60227387)
内藤 晶 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (80172245)
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Keywords | 固体高分解能NMR / 回転エコー二重共鳴(REDOR) / 原子間距離 / ペプチド / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究においては、固体分子における安定同位体標識した特定の原子間の双極子相互作用を高分解能NMR測定条件下で選択的に復活させ、その原子間距離の精密測定を可能にすることにより分子の三次元構造を非経験的に構築するための、種々の新しい手法の検討および総合的解析システムの開発を行った。同時に、分子の特定部位における分子運動の有無が解析の精度に重要な役割をはたすため、種々の時間尺度における分子のダイナミックスの検討もあわせて行った。 まず第一に、ペプチド主鎖の4化学結合を経由するカルボニル、アミド基について^<13>C、^<15>Nによる二重標識ペプチドを調製し、回転エコー二重共鳴(REDOR)法によるエコー強度の解析ならびに、標識化合物を非標識化合物によって希釈することによる隣接分子からの標識原子の寄与の除去、ならびに3スピン系の双極子相互作用の解析から測定精度を0.02Aまでの精度での測定を可能にすることができることがわかった。系統的な距離情報の抽出によりペプチドの二面体角の決定、ひいては主鎖に関する三次元構造の決定が可能であることをトリペプチドレベルで示すことができた。また、分子ダイナミックス計算との併用による分子の三次元構造の構築に関しても検討を行い、三次元構造解析に関連した種々の問題点を摘出するとともに、解析システムとして確立することができた。さらに、^<15>N-H距離のように直接化学結合で結ばれている系では、双極子相互作用によるPakeダブレットの観測から測定が可能で、特に水素結合強度との相関についても検討した。また、分子ダイナミックスに関しては、チロシンなど芳香族側鎖のフリップフロップ運動に関して種々の時間尺度を持つ系の系統的な速度定数測定法を確立した。
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