1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04554024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 直治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80196716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 章 日本真空株式会社, 計器事業部技術課, 課長
比屋根 肇 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70192292)
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Keywords | 炭素同位体 / 二酸化炭素 / 質量分析 / 四重極型質量分析計 |
Research Abstract |
1ナノモル(約0.01マイクログラム)程度の微量炭素の同位体組成(^<13>C/^<12>C比)を測定するため、四重極型質量分析計(MSQ400;アルバック社)を装備した真空システムを作った。スタティックなモード(試料のガスを質量分析計内に閉じ込めた状態)での炭素同位体分析を試みた。炭素は二酸化炭素の形にして質量分析計に導入し、質量数42,44,45,46のピークを測定する。ピークのスキャンは電気的におこない、160秒程度で10セットのデータが得られる。二酸化炭素は、測定中に質量分析計のフィラメントと反応して、短時間のうちに一部はCOに分解され、一部は金属と炭化物を作ることにより消費されていく。通常のタングステンフィラメントでは二酸化炭素の「半減期」は20秒程度であった。フィラメントの温度を下げるため、イットリア(Y_2O_3)をコートしたイリジウムフィラメントに取り替えたところ、「半減期」は数倍長くなった。さらに、エミッション電流を1mAから0.1mAに落とし、結果として「半減期」を2分以上にまで延ばすことに成功した。本研究で用いたイオンソースは「開放型」のソースであるが、通常のものより「半減期」は数倍長く、「閉鎖型」のもの(450秒;Prosser,1990)と比較しても約1/3程度の「半減期」が実現できている。測定終了時における炭素は、80%以上が二酸化炭素の形態で存在している。現在、市販の二酸化炭素ガスを用いて、分析の再現性を調べているが、1ナノモル(約0.01マイクログラム)の炭素の同位体比が、プラスマイナス0.5%程度の再現性で測定できている。しかしながら、同位体比の測定値に圧力依存性があるため、精密な測定には注意が必要である。現在、本システムで測定可能な炭素の量は、0.1ナノモル(約1ナノグラム程度)である。
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