液晶位相変調素子を用いた生物位相差顕微鏡の高精度定量化

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04555011
• Research Institution: SAITAMA UNIVERSITY
• Principal Investigator: 豊岡 了 埼玉大学, 工学部, 教授 (90019753)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 長野 主税 オリンパス光学工業(株), 光学技術部, 課長 ; 門野 博史 埼玉大学, 工学部, 助教授 (70204518)
• Keywords: 液晶 / 位相差顕微鏡 / 位相変調素子 / 強誘電性液晶 / 反強誘電性液晶

Research Abstract

前年度の研究に引き続き、次の順序で研究を進めた、
(1)位相シフターに関する研究 位相シフターとしては外部電界によって0から2πの間で連続的に位相制御可能なネマティック液晶、2値または3値の高速位相変換が可能な強誘電性液晶および反強誘電性液晶について、位相変調特性を理論的実験的に詳細に検討した。外部電界を必要としない光誘起位相変調素子として、茶の抽出液のセルを作成し、その独特な位相変調特性について理論的実験的に調査し検討した。
(2)液晶位相シフターを設置した位相差顕微鏡の試作 従来の位相差顕微鏡においては、対物レンズの瞳面に位相板を設置しているが、試作の顕微鏡においてはリレー光学系によって対物レンズの外部に瞳面を作り、そこに液晶位相シフターを設置した。
(3)位相定量化法の開発 位相シフトした複数の位相差像から光学系のOTFを考慮して位相を決定する方法を新たに開発した。
(4)位相物体の定量観察 試作した位相差顕微鏡で実際の生物試料の観察を行い新たに開発したアルゴリズムで位相分布を定量的に求めた。その結果、弱位相物体に対しては定量的な位相解析を行うことができた。さらに大きな位相変化を持つ物体や透過率分布を持つ物体についても定量解析の可能性が示された。
今後、精度の検討等残された課題はあるものの、本研究によって定量観察可能の新しい位相差顕微鏡の実用化の見通しが立てられた。

Research Products

• [Publications] 豊岡了 他: "強誘電性液晶の位相変調特性(2)" 第40回応用物理学関係連合講演会予稿集III. 897 (1993)
• [Publications] 門野博史 他: "中国茶の光学特性に基づく自己配置位相フィルター" 第40回応用物理学関係連合講演会予稿集III. 881 (1993)
• [Publications] 豊岡了 他: "強誘電性液晶の位相変調特性(3)" 第54回応用物理学会講演予稿集III. (1994)
• [Publications] 豊岡了 他: "液晶位相シフタを用いた位相差顕微鏡" 第54回応用物理学会講演予稿集III. (1994)
• [Publications] 門野博史 他: "High precision common-path interferometer using a liquid crystal phase modulator." International conference:from Galileo's "Ochialinn" to optnelectronics. 895-900 (1993)
• [Publications] 門野博史 他: "Nonlinear optical properties of chinese tea extract" 第11回光波センセング技術研究会講演論文集. 97-104 (1993)
• [Publications] 豊岡了 他: "液晶位相変調器とその干渉計測への応用" 理研シンポジウム「新しい光応用技術IX」講演予稿集. 5-8 (1993)
• [Publications] 門野博史 他: "液晶を用いた位相シフト干渉計" 電気学会 光・量子デバイス研究会講演予稿集. 1-10 (1993)