1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04555015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金持 徹 神戸大学, 工学部, 教授 (40031059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 静雄 日本真空技術(株), 計器事業部, 部長
美馬 宏司 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (50047073)
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Keywords | 極高真空 / 電離真空計 / 高感度電離真空計 |
Research Abstract |
1.(目的)微少なエミッション電流(Ie)で充分な信号強度が得られる真空計を開発することによって、Ieが作り出すX線光電子電流などの雑音電流を著しく減少させるだけでなく、真空計の動作温度を引き下げて電極からの脱ガスを減少させ、極高真空を測定できる真空計を実現する。 2.(方法と今年度の成果) (1)従来検討を重ねて来た超高感度真空計である直列静電レンズ型真空計(CSLゲージ)に関してコンピュータシミュレーションの方法を改善し電子による空間電荷の分布状態を考慮に入れることによって理論的検討の精度を高めた。 (2)真空槽の排気系を一部改善し、上記のCSLゲージについての実験を進めた。すなわち、各電極電位を、上記の計算機シミュレーションで得られた最適電位から試行錯誤的に微修正して真の最適電位を模索した。その結果、Ie=0.5μAで動作させたときに、感度係数S=70〜80Pa^<-1>程度(9000〜10000 Torr^<-1>程度)の高い感度が容易に安定に得られる事がわかった。この感度は普通のBAゲージの感度のおよそ300〜500倍程度である。このことは、この真空計が、従来の真空計の最低測定限界圧力の1/300〜1/500程度の圧力を、容易に測定できる事を意味する。 3.(次年度の目標) (1)上記の実験は10^<-9>Pa(10^<-11>Torr)程度の真空までしか実施されていないから、実際に極高真空中での動作を確認するためには装置の改良が必要である。平成4年度に購入した新しい設備を利用して平成5年度の早い時期に実際に極高真空を作成しその中で上記の実験を繰り反してその性能を確認する。 (2)上記の実験に使用したCSLゲージは薄板電極を組み合わせて作成されて居たが、薄板電極では脱ガスに関して不利であるので新しく細線で形成された多数のループ電極によって形成された新型CSLゲージを作成する。その際にシミュレーション計算を改善して、空間電荷の空間的な分布状態を制御できるすぐれた高感度ゲージへと研究を進める。
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