Research Abstract |
本年度は,マイクロマシン用素子であるSi単結晶微小試験片および先端複合材料用強化材である強化繊維,強化粒子の,(1)圧縮特性,(2)3点曲げ特性,および(3)疲労特性を評価可能となる試験機システムの各基本要素の詳細仕様を決定し,電磁力方式による微小荷重負荷装置,作動トランス方式による変位測定機構,および疲労荷重負荷機構からなる試験機本体部の試作を行うとともに,(1)圧縮試験チャック(微小3点曲げチャック,微小硬さ試験用圧子),(2)除振台,(3)風防ケースと組み合わせて,微小材料機械的特性評価試験機システムを試作した。さらに,試作試験機が,荷重負荷レンジ:0.1mN-5N,荷重負荷精度:±20μN以下,変位測定レンジ:0-250μm,変位測定分解能:0.1μm以下,変位測定の直線性:フルスケールの±2%以内の設計仕様を十分満足していることを確認した。つぎに,試作試験機システムを使用して,異方性エッチングにより作成した,マイクロマシン用Si単結晶微小試験片(試験片厚さ45μm,試験片幅:65μm)の3点曲げ試験(スパン長さ:1.5mm)および複合材料用強化繊維である,炭素繊維,複数のアラミド繊維およびアルミナ繊維の単繊維の横方向圧縮試験が可能であることを確認して,Si単結晶微小試験片の破断強度,弾性係数,各強化繊維の横方向弾性係数を正確に求めることを示した。さらに,Si微小試験片の弾性係数は,結晶方位依存性のあること,微小試験片の破断強度には,試験片加工方法(異方性エッチング,ダイシング加工)の影響を受けること,試験片表面のエッチングによる表面あらさが破断強度に大きな影響を与えること,さらに強化繊維の横方向弾性係数は,繊維のミクロな繊維方向への配向度と関連を有すること,アラミド繊維は吸水することにより,横方向弾性係数が低下するとともに,繊維のスプリッティングが大きくなることなど,興味ある実験結果を得た。
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