1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04555030
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大南 正瑛 立命館大学, 理工学部, 教授 (60066587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 敏博 (株)日立製作所, ストレージシステム事業部, 副参事
河合 末男 (株)日立製作所, 半導体設計開発センタ, 部長
坂根 政男 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20111130)
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Keywords | マイクロデバイス / 薄膜 / 弾性定数 / 曲げ試験 / 組合せばり |
Research Abstract |
(1)厚さ10μm以下の薄膜の弾性定数を有効数字3桁で計測するため,精密3点曲げ試験装置を設計試作した.荷重測定には電子天秤用の精密ロードセル(荷重分解能1mg)を用い,曲げ変位は分解能0.05μmのレーザ変位計を用いた.厚さ200μmのガラス基板を用いて,性能確認試験を実施した結果,ガラス基板のヤング率を最大で3%の誤差範囲で計測できることが判明した.このことから,今回試作した薄膜のヤング率計測装置は充分な精度と分解能を有していると判断した. (2)今回試作した精密3点曲げ試験装置を用いて,厚さが1μm〜10μmの範囲のCo-Ta-Zrの薄膜のヤング率の計測試験を行った.厚さが3.5μm以上の範囲ではヤング率は150GPaで一定であったが,3.5μm以下の膜厚では,膜厚の減少に伴ってヤング率が増加する現象が観察された.1μmの膜厚のヤング率は約250MPaであり,4.5μmのそれの約1.7倍の値となった. (3)ヤング率の膜厚減少に伴う増加現象について,薄膜の表面エネルギーを用いて考察した.引張によって薄膜に畜積されるエネルギーとして,弾性ひずみエネルギーと新生面の表面エネルギーとの和を考えた.薄膜のエネルギーバランスにこれら2つのエネルギーを考えることによって,薄膜の膜厚減少に伴うヤング率の減少を定性的に説明することが出来た. (4)ガラス基板と薄膜付きガラス基板の固有振動数の差から,薄膜のヤング率を高精度で計測可能な試験装置を試作した.性能確認試験を実施し,ヤング率の計測に充分な精度を有していることを確認した.次年度では本装置を用いて,薄膜のヤング率を系統的に測定し,3点曲げ試験より得られたヤング率との比較検討を通じて,薄膜のヤング率測定法の確立を計る.
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