1992 Fiscal Year Annual Research Report
超微細砥粒の電気泳動付着現象を利用した超微粒砥石の開発
Project/Area Number |
04555032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷 泰弘 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (80143527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 研治 タイホー工業(株), 中央研究所, 研究員
池野 順一 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10184441)
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Keywords | 超微細砥粒 / 電気泳動現象 / 超微粒砥石 / 鏡面研削 / 超精密加工 |
Research Abstract |
平成4年度は超微粒砥石の作成法を確立することに重点を置いて研究を進めた.以下,具体的に研究経過を述べる. (1)電気泳動現象のメカニズム解明 超微粒砥石で最も重要な要素は均質性である.液中の電極表面に吸着する超微細砥粒の配列を明確にするため,電気泳動現象のメカニズムの解明を行った.その結果,超微細砥粒は電極表面で多分子吸着し,その配列は単純立方格子の相当することが明らかになった.また,吸着層が一層成長する時間は印加電圧30Vで6msであり,数mm程度の層厚みが得られることが明らかとなった.さらに,印加電圧と砥粒濃度が電気泳動現象,それに付随する吸着現象に及ぼす影響について検討を行った. (2)結合剤の選定 超微細砥粒は電気泳動で凝集しても,乾燥後は崩壊してしまう.そこで,乾燥後も充分な強度を有する砥石となるよう結合剤の選定を行う.選定にあたり注意すべきことは砥粒と均一に結合し,ともに一極に電気泳動する物質であることである.検討の結果,高分子電解質であるアルギン酸ナトリウムが適当であることを見い出した.この高分子は液中でイオン化し超微細砥粒と電気的に吸着し,保護コロイドとなる性質を有している.しかも,高分子と砥粒が一対となった粒子は電荷を有し,共に電気泳動現象で電極に移動し吸着層を形成することを確認した. (3)超微粒砥石の作成法の確立 電気泳動方式砥石作成装置を作成し,(1)(2)を基に超微粒砥石の作成を行った.電極には黄銅を用い,回転させながら砥石の作成を行った.砥粒と結合剤の混合比,印加電圧等の作成条件について検討し,乾燥時の収縮による崩壊がないよう条件の選定を行った.その結果,割れの生じない条件が存在することを見い出すことができた. (4)砥石の物理特性の評価 超微粒砥石に求められる物理特性は,組織的に均質で適度な結合力を有することである.評価手段として次の機械的強度試験,分析等を行った.a.EPMA分析:砥粒の分布状態の調査,b.引っかき試験,マイクロビッカ-ス硬度試験:砥石強度の分布の調査,c.走査型電子顕微鏡:組織の観察.これらより,作成した超微粒砥石が組織的にも強度的にも均一であることが実証できた. 平成4年度の研究目的である「砥石作成法の確立」は成し得たものと云える.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 池野 順一: "電気泳動現象を利用した微細砥粒の固定化とその応用(第6報)" 精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集. 1. 215-216 (1992)
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[Publications] 花田 賢次: "電気泳動現象利用のための基礎実験" 固定砥粒加工フォ-ラム砥粒加工学会専門学術講演会学術講演会講演論文集. 1. 25-28 (1993)
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[Publications] 蔡 少歩: "超微細砥粒の電気泳動現象を利用した研削加工法に関する研究" 固定砥粒加工フォ-ラム砥粒加工学会専門学術講演会学術講演会講演論文集. 1. 29-32 (1993)