1994 Fiscal Year Annual Research Report
生体膝関節機能を有する人工膝関節の最適設計・試作・評価システムの開発
Project/Area Number |
04555038
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 輝夫 九州大学, 工学部, 教授 (90091347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 公介 福岡大学, 医学部, 教授 (40136437)
三浦 裕正 九州大学, 医学部, 助手 (10239189)
日垣 秀彦 九州大学, 工学部, 助手 (00238263)
大月 伸男 九州大学, 工学部, 助教授 (60127991)
広川 俊二 九州大学, 工学部, 教授 (80150374)
|
Keywords | 人工膝関節 / 生体関節 / 最適設計 / トライボロジー / バイオトライボロジー / バイオメカニクス / 関節シミュレータ / 医用工学 |
Research Abstract |
人工膝関節の設計指針の確率をめざして、生体膝関節にせまる高機能の人工膝関節を最適設計・試作・評価するためのシステムを構築した.具体的には,生体膝関節の形状計測や形状解析と,その結果に基づく人工膝関節の設計・試作および歩行シミュレータ試験による評価を行った.材料としては,従来材料の超高分子量ポリエチレンと人工軟骨候補材料のPVA(ポリビニルアルコール)ハイドロゲルの双方について試みた. まず、生体切断膝3次元形状の計測データについて曲面解析を行い,歩行時の立脚期と遊脚期で大腿側接触部位の曲率半径が大きく異なることを示し,二円弧デザインを提案した.また,歩行条件下における接触解析により、摩擦条件が過酷となる位相で転がり運動が生じることを示唆するとともに、表面部位のひずみエネルギー低下をめざしたリモデリング形状を提案した.これらの形状案に基づき,パソコン制御方式の数値制御切削加工機を用いて,ポリエチレンやアクリル樹脂の曲面加工を行い,各部品を試作した.試作例としては,円弧・二円弧・球面・リモデリング形状等を試みた.PVAについては,円筒型または円弧/平面型で鋳造試作した. 動的性能評価のために,パソコン-油圧制御方式により,歩行時の脛骨軸荷重と屈曲伸展運動に加えて,前後方向力や回旋運動をも模擬できる多機能の関節シミュレータを開発した.歩行条件下における潤滑膜形成を分離度測定や可視化観察,揺動軸トルク・前後力測定により評価した.これらの結果により,形状適合性の向上や軟質材の導入による流体潤滑膜の形成促進や吸着膜潤滑効果,二円弧形状による潤滑膜の回復,リモデリング形状による転がり運動の導入等を確認できた.これらを総括して,多モード適応潤滑機能を付与する設計指針を提案できた.今後,現用人工膝関節の置換の臨床経験を反映しながら,新提案の総合設計を進める予定である.
|
-
[Publications] T.Murakami: "Design Concept of Adaptive Multimode Lubrication in Artificial Joints" Design of Amenity. (1995)
-
[Publications] T.Murakami: "The Adaptive Multimode Lubrication in Knee Protheses with Compliant Layer during Walking Motion" Thin Films Tribology. 673-682 (1993)
-
[Publications] 澤江義則: "PVAハイドロゲルを人工軟骨として有する人工膝関節の潤滑特性評価" 日本機械学会論文集. Vol.60. 289-296 (1994)
-
[Publications] S.Hirokawa: "In-vitro Measurment of Patellofemoral Joint Contact Pressure during Various Kinds of Walking" 計測自動制御学会論文集. Vol.29. 940-948 (1993)
-
[Publications] 大月伸男: "人工膝関節における形状と潤滑機能" 日本臨床バイオメカニクス. Vol.14. 229-232 (1993)
-
[Publications] 川村秀哉: "Press Fit Condylar人工膝関節置換術の短期治療成績の検討" 整形外科と災害外科. Vol.37. 306 (1994)