1993 Fiscal Year Annual Research Report
超低損失アモルファス超薄帯磁心を用いた超薄形プレーナ・トランス,インダクタの開発
Project/Area Number |
04555072
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Research Institution | KUMAMOTO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
八木 正昭 熊本工業大学, 工学部, 教授 (80005371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢 孝雄 (株)東芝, 新素材応用研究所, 主査
笹田 一郎 九州大学, 工学部, 助教授 (20117120)
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Keywords | 超低損失アモルファス磁心 / 極薄Co基アモルファス合金 / 高周波用磁気素子 / 薄形トランス,インダクタ |
Research Abstract |
本研究は,高周波磁心損失の極めて小さい極薄のCo基アモルファス磁性合金超薄帯を用いて,薄形のトランスおよびインダクタを開発することを目的として2カ年間実施してきた。具体的には,(1)薄形のトランスに適した高周波磁気特性をもつアモルファス超薄帯の作製,(2)磁気素子の解析・設計,(3)素子試作のプロセスの検討等の3つを課題として進めてきた。 本年度は,前年度に引き続き,高周波磁気特性に及ぼす合金組成と熱処理条件についてを検討した。その結果,Crを少量添加したFe-Co-Cr-Si-B系で,幅方向磁界中熱処理を施すと,(Fe-Co-Cr)_<79>(Si-B)_<21>の試料薄帯で高周波磁心損失がさらに改善され,世界最小の値を更新する成果が得られた。また,初透磁率の周波数特性は大幅に改善され,遮断周波数が数MHzにまで伸びる結果が得られるなど,基礎となる材料面では成果が得られた。しかしながら,薄形磁気素子作製のプロセスについては,フォトリソと化学エッチングおよび印刷法により導体コイルを種々試作検討を行ったが,当初の目標としたコイルの高いQ値が得られるには未だ至っておらず,導体コイルの構造および作製法については,さらに検討を重ねる必要があることが分かった。 さらに,本研究の2カ年の期間中に,代表者・八木が,宮城高専より熊本工業大学に転出し,新しい研究室の建設および設備の据付・立ち上げ等のために,予想以上の長期間に亘って実験研究の中断を余儀なくされたため,本研究の目的はまだ十分達成していない。研究期間は一応終了するが,目標とした薄形磁気素子の検討をさらになお1カ年余続け,取りまとめる予定である。
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[Publications] 八木,沢,山崎: "高周波用Co基アモルファス超薄帯磁心の磁気特性" 電気学会論文誌A. Vol.112. 545-552 (1992)
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[Publications] 八木: "極薄Co基アモルファス薄帯とその高周波磁気特性" 日本金属学会報. 31. 991-998 (1992)
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[Publications] 沢、中川、八木、井上: "Co基アモルファス極薄薄帯磁心とその応用" 東芝レビュー. 47. 895-898 (1992)
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[Publications] 八木、沢: "超低損失アモルファス磁性薄帯の開発と応用" 日本学術振興会・アモルファス材料第147委員会第37回研究会資料. 13-18 (1992)
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[Publications] 八木: "極薄Co基アモルファス薄帯の高周波磁気特性とその応用" 電気学会マイクロ磁気デバイス調査専門委員会資料. MD-14-8. 13 (1993)
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[Publications] Edited by Y.sakurai et al.: "CURRENT TOPICS IN AMORPHOUS MATERIALS:PHYSICS & TECHNOLOGY(分担;Amorphous Ribbons;pp.201-205)" NORTH-HOLLAND, 432 (1993)