1992 Fiscal Year Annual Research Report
リパーゼによる油分の加水分解反応を利用した食堂排水用除害施設の開発
Project/Area Number |
04555134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 友矩 東京大学, 工学部, 教授 (80010784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深瀬 哲朗 栗田工業(株), 総合研究所, バイオチームリーダー
関川 泰弘 栗田工業(株), 研究開発本部, 部長
中西 準子 東京大学, 環境安全センター, 助教授 (10010836)
味埜 俊 東京大学, 工学部, 助教授 (60166098)
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Keywords | リパーゼ / 油分処理 / 食堂排水 / n-ヘキサン抽出物質 |
Research Abstract |
ごく最近大量生産が可能になった油分加水分解酵素であるリパーゼを、実際の食堂排水処理に適用するための実験的研究を行った結果、以下のような実績が得られた。 1.東京大学生協第二食堂および栗田工業総合研究所社員食堂を対象として、調査を行い、油分含有量(n-ヘキサン抽出物質)の日間変動、その発生要因、使用されている洗剤の種類と量などの排水の特性に関する情報を得た。 2.本研究で用いるリパーゼの基本的特性、すなわち、最適リパーゼ濃度作用最適ph、洗剤の酵素活性への影響、温度特性などを再検討し、これらの特性を実験的に明らかにした。 3.リパーゼで処理した食用油を凝集処理することで油を沈澱/濾過分離するプロセスについて実験的に検討し、添加する塩の種類や凝集させるときの条件により生成される沈澱物の性状が異なることが示唆された。詳細については今後の検討が必要である。 4.食堂厨房排水中の油分をリパーゼにより加水分解した後、活性汚泥法による処理を行う実験を行った結果、リパーゼ処理により活性汚泥法でのn-ヘキサン抽出物質の除去率が向上することが明らかになった半面、処理水のTOCは若干悪化する傾向が見られ、また、リパーゼが活性汚泥の有機物除去特性や沈降性に悪い影響を与えている可能性が示唆された。これらの点については今後さらに詳細な検討が必要である。 以上、来年度において、リパーゼによる加水分解反応を、凝集処理あるいは生物処理の前処理として、食堂排水処理に応用するための実証プラント実験を行う上での、基礎的知見が得られたと考える。
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