1993 Fiscal Year Annual Research Report
水中ウイルス制御技術のためのバクテリオファージを用いた新指標の開発
Project/Area Number |
04555135
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大垣 眞一郎 東京大学, 工学部, 教授 (20005549)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神子 直之 東京大学, 工学部, 助手 (70251345)
古米 弘明 茨城大学, 工学部, 助教授 (40173546)
山本 和夫 東京大学, 工学部, 助教授 (60143393)
|
Keywords | バクテリオファージ / ウイルス指標 / 大腸菌ファージ / RNAファージ / 膜濾過 |
Research Abstract |
1.RNAファージとDNAファージの増殖特性に関する検討 ファージの基準株およびファージ検出用の宿主菌を用いた実験的検討により、ファージ増殖の要件を明らかにした。すなわち、ファージ、宿主菌がともに存在し、しかも宿主菌の増殖が活発であるための基質が必要であった。RNAファージの増殖においては、そのうえ水温が27.5℃以上であることが必要であり、河川、湖沼、地下水等の環境水中で増殖することはまずありえないと結論された。 2.膜濾過におけるバクテリオファージの除去特性 浄水場の原水を中空糸型精密濾過膜で濾過を行い、バクテリオファージの除去特性を調べた。実験に用いた膜の公称孔径は0.2μm、0.1μm、0.03μmである。その結果、公称孔径がウイルスより大きい場合でも、ケーキ層の形成と共に、野生のファージの除去率が増加すると実験的に示すことができた。また、原水中のファージは、DNAファージとRNAファージがほぼ半々であったのに、DNAファージが処理水から検出できないほど阻止率の上がった膜の処理水から、RNAファージのみが検出された。そのため、膜の阻止率の増大による膜の細孔径分布の変化を、野生のファージを用いて評価できたことになる。 3.バクテリオファージの、ウイルス指標としての利用上記1、2で示されたように、DNAファージとRNAファージの特性に様々な相違点があるため、水処理手法の指標として用いる場合には、制御を行う対象範囲などの条件に応じて、両者の適用方法を十分考慮しなければならないことが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 高橋克夫、大垣眞一郎、藤田賢二、神子直之、貝谷吉英: "中空系MF膜の膜特性と細菌・ファージ除去" 第44回全国水道研究発表会講演集. 321-323 (1993)
-
[Publications] Kamiko,N. Ohgaki,S.: "Multiplication Characteristics of FRNA Phage and Its Utility as an Indicator for Pathogenic Viruses." Wat.Sci.Tech.VOL.27, NO.3-4. 133-136 (1993)
-
[Publications] 大垣眞一郎: "ウイルス指標としてのバクテリオファージ" 水道協会雑誌. VOL.62, NO.10. 22-27 (1993)
-
[Publications] 神子直之,大垣眞一郎: "FRNAファージの増殖特性とウイルス指標としての有効性" 水環境学会誌. VOL.16, NO.10. 723-731 (1993)
-
[Publications] 高橋克夫,大垣眞一郎,藤田賢二,神子直之,貝谷吉英: "中空系精密濾過膜による細菌及び大腸菌ファージの除去特性" 水道協会雑誌. VOL.63, NO.4, (発表予定). (1994)
-
[Publications] 神子直之,大垣眞一郎(分担執筆): "環境微生物工学研究法" 技報堂出版, 417 (1993)