1993 Fiscal Year Annual Research Report
電子論によるアルミニウム合金の強度予測とそれに基づく高比強度合金の設計と開発
Project/Area Number |
04555172
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
森永 正彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 英雄 住友金属(株), 技術研究所, 主任研究員
井上 聡 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (90168443)
村田 純教 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (10144213)
小林 俊郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90023324)
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Keywords | アルミニウム合金 / 機械的性質 / 電子状態 / 分子軌道法 / 合金設計 |
Research Abstract |
現在、自動車をはじめとする、各種輸送機関の軽量化が叫ばれている。この社会的要請に答えるためには、アルミニウムに代表される軽金属材料の高強度化が必要である。ところで材料の機械的性質は、これまで転位論で取り扱われてきた。転位論によって材料の機械的性質の基礎的な理解が深まったものの、これを使って実際に材料を予測するまでには至っていないのが現状である。昨年度までの研究により、自由電子的な振舞いをするアルミニウム合金においては、合金元素とアルミニウム原子間の結合は比較的簡単であり、実用アルミニウム合金の耐力や引張強さが一つの電子パラメータで整理できることを見いだした。本年度は、この強度予測を使って高比強度アルミニウム合金を設計するための基礎研究を展開し、以下の成果を得た。 1.高比強度合金を考えるとき、避けて通れない応力腐食割れ(SCC)の問題について、実験と理論の両面から検討した。その結果、Al-Mg系合金では、結晶粒界およびマトリックス中の析出物のまわりのMg濃度の分布が著しく不均一であることがわかった。特に、粒界析出物(β相)近傍でのMg濃度は極端に低く、そこでの強度の低下がSCCの大きな原因となっていることが明らかになった。 2.また、水素脆化もSCCの一因と考えられているので、分子軌道法(DV-Xα法)によって粒界近傍の水素の電子状態をシュミレートした。粒界上のTiやCrなどの合金元素は、周囲のAl原子と強く結合し、水素の存在下においても、その結合力は保たれていた。従って、これらは粒界強化に有効な元素だと思われる。一方、CoやCuあるいはZn、Mgのような合金元素では、このような効果は殆ど見られなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Yukawa,M.Morinaga and Y.Takahashi: "Simulation of Electronic Structures for Understanding Alloying Behaviour of Aluminium" International Conference on Computer-assisted Materials Design and Process Simulation,Tokyo,ISIJ. 249-254 (1993)
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[Publications] H.Yukawa,M.Morinaga and Y.Takahashi: "Interactions between Hydrogen and Solute Atoms in Aluminium Alloys" Proc.of the 3rd IUMRS International Conference on Advanced Materials,Tokyo,Aug.3l-Sept.4(1993) 印刷中. (1994)
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[Publications] 二宮隆二、湯川宏、森永正彦: "電子論を用いた軽合金材料の機械的性質の評価と設計" 軽金属. 44(印刷中). (1994)