1992 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ溶射による溶融炭酸塩燃料電池用耐食セラミック傾斜材料の開発
Project/Area Number |
04555175
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
奥山 優 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (50042528)
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Keywords | セラミック傾斜材料 / プラズマ溶射 / 炭酸溶融塩燃料電池 |
Research Abstract |
本研究で使用している傾斜材料の溶射装置は、段階的に濃度を変えるタイプであるので、その特徴を活用し、また、積層膜の機能を明確化するために、基礎研究として3段傾斜(クロム層-アルミナ・クロム混合層-アルミナ層)のみを取り上げて、鉄基材上に1段毎に各層の厚さをコントロールして溶射した。その際、本研究では中間混合層のアルミナ/クロム混合比を種々変えてコーティング膜の溶融炭酸塩に対する耐食・耐熱性への影響を調べた。また、使用する金属クロムの材質についても、市販の電解クロムとダクタイルクロム(高純度クロム)の2種類を用いた時の傾斜材料の溶融炭酸塩に対する耐食・耐熱性への影響についても同時に調べた。 3段傾斜コーティング膜の中間混合層のクロム/アルミナ粉体混合比の影響については、電解クロムを用いて行った。溶射時の粉体混合比はクロムとアルミナをモル比、重量比、体積比で混合し、溶射した。電気化学分極実験の結果、上記順序で腐食電流は低下した。また、実験後、急冷すると、モル比、重量比で溶射した試料は多くの場合、クラックを生じており、熱歪に弱いことがわかった。一方、体積比で混合した試料は、クラックを生ずることがなかった。実験後の試料の断面についてSEM観察、EPMA分析を行うと、混合層のクロム濃度が著しく上昇していることがわかった。モル比、重量比で溶射した試料は90%以上となっていたが、体積比の場合は60〜70%程度であり、このことが最良の結果を与えたものと思われる。電解クロムの代りにダクタイルクロムを用いると、腐食電流は1/2以上に低下した。また、急冷による割れは何れの場合も観測されなかった。EPMA分析からは中間混合層のクロムの濃縮は同等であったが、クロム自身のダクティリティーの相違によるものと考えられた。
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[Publications] Masaru Okuyama,Masaaki Ushioda,Yasuhiko Itoi: "Formation of Graded Metal-Ceramic Coatings on Iron by Plasma Spray and Their Corrosion Resistance to Molten Alkali Carbonates" Denki Kagaku. 60. 508-514 (1992)