1993 Fiscal Year Annual Research Report
イオン徐放性を有するコンポジットレジンガラスフィラーの開発
Project/Area Number |
04555187
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三浦 嘉也 岡山大学, 工学部, 教授 (80032952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 雅之 (株)クラレ, メディカル研究開発室, 研究員
難波 徳郎 岡山大学, 工学部, 講師 (80218073)
尾坂 明義 岡山大学, 工学部, 助教授 (20033409)
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Keywords | 生体材料 / コンポジットレジン / イオン徐放性 / ガラスフィラー |
Research Abstract |
虫歯・歯の欠損の修復にエナメル質との接着性のよいポリメチルメタクリレートにフィラーとしてガラスを混入したコンポジットレジンが使われ始めている。フィラーの化学的耐久性・硬度・透明性は更に改良される必要があり、更にイオン徐放性など高機能性付与に対する要望も高い。本研究はPMMAを結合剤とするコンポジットレジンにおいてフィラーとしてのガラスの最適化の検討を加えるとともにフッ化物イオンおよびストロンチウムイオン徐放性ガラスの開発を行い、自然歯のフルオロ化およびストロンチウム化による虫歯予防性について検討を行うことを目的としている。 ガラスの組成は1400℃以下で溶融可能でフッ化物が10mol%程度含まれても結晶化しないものとして、1)(60-x)SiO_2・xB_2O_3・20BaO・10SrO・10AlF_3(x=10〜40mol%),2)40SiO_2・yAl_2O_3・(40-y)BaO・20SrF_2(y=5,10mol%)の組成を選んだ。組成1)の溶出試験の結果、Ba^<2+>イオンの溶出量が多く、次いでSr^<2+>イオン,B^<3+>イオンおよびF^-イオンが溶出しており、Si^<4+>イオンやAl^<3+>イオンの溶出量が少ないことが分かった。また、各イオンの溶出過程は拡散律速であった。また、xが大きいほどF^-イオンの溶出量は多くなった。このことからガラスの組成を変えることによってF^-イオンの溶出量を制御することが可能である。一方、組成2)におけるAl_2O_3の含有量を変化させたときAl_2O_3含有量が増加するとF^-イオンの溶出量は減少することが分かった。アルミニウムイオンはSiO_2が存在するとガラス表面にアルミノシリケートから成る保護膜を作ってイオンの溶出を防ぐ役割をすることが明らかになった。これらのことからガラスの組成を選ぶことによってF^-イオンなど各イオンの溶出速度が制御されたガラスの作製が可能であり、曲げ強度、圧縮強度、弾性率など他の物性もガラスフィラーとしての基本特性をクリアしているものを選ぶことが可能となった。
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