1993 Fiscal Year Annual Research Report
電極表面に吸着した単分子層の酸化還元挙動解析のための可視・紫外反射分光装置の試作
Project/Area Number |
04555196
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
仁木 克己 横浜国立大学, 工学部, 教授 (00017899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 英元 (株)中川アプライドリサーチ
今林 慎一郎 横浜国立大学, 工学部, 助手 (50251757)
佐藤 寿邦 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (80017920)
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Keywords | 紫外可視反射分光法 / チトクロムc / チトクロムc_3 / アルカンチオール / コバルトポルフィリン複核錯体 |
Research Abstract |
本年度は平成4年度末にプロトタイプが完成した試作ER装置を用いて測定を行うと同時に、性能の評価、改良による目標の機器仕様の達成を目指した。 1.当初、試作ER装置が安定に作動せず、この対策に時間を要した。セルと検出器の位置が適切でないために検出器への入射光量が不足することが原因であることが判った。現在、暫定的なジオメトリーで用いているが、早急に改良する予定でいる。 2.試作装置を用いて、従来の測定法では得られない以下の新たな知見を得た。 ・末端にカルボキシル基を有する鎖長の異なるアルカンチオールで修飾した金電極上に固定化したチトクロムc、c_3の電子授受反応速度を広い周波数範囲におけるER応答の複素平面解析から求めた。その結果、アルキル鎖が長いほど電子授受反応速度が遅く、同じ修飾剤上ではチトクロムc_3はチトクロムcより反応が速い傾向が得られた。 ・4個のルテニウム錯体を配位させたコバルトポルフィリン複核錯体のERスペクトルは両錯体のスペクトルの単純な和とは異なった。より詳細な検討が必要であるが、コバルト中心は酸化還元を行わないこと、または両錯体間の相互作用の存在が示唆された。 3.試作装置の新たな機能である参照光学系を用いた絶対反射吸収スペクトルの測定方法、および単分子吸着種の分子配向の解析方法の確立については具体的な成果が得られていない。後者の確立には、配向状態が明らかな基準化合物が必要である。この基準化合物として、末端にチオール基を有するアルキル鎖を側鎖として有するビオロゲン化合物の合成に着手し、現在、最終段階にある。側鎖が1個のものは金属電極に対して垂直に、2個のものは平行に配向すると期待される。
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[Publications] T.Sagara,S.Takagi and K.Niki: "Electroreflectance Study of Hemin Adsorbed on a Pyrolytic Graphite Electrode Surface and Its Coadsorption with Methylene Blue" J.Electroanal.Chem.349. 159-171 (1993)
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[Publications] T.Sagara and K.Niki: "Surface Processes and Adsorption States of Methylene Blue at Graphite Electrode Surfaces in an Acidic Medium:An Electroreflectance Study" Langmuir. 9. 831-838 (1993)
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[Publications] T.Sagara,H.X.Wang and K.Niki: "Phase-shifting Technique in Use of Electroreflectance Spectroscopy:Discriminative Measurement of the Electrode Reaction of Cytochrome c3 Adsorbed on the Electrode Surface in a Methylviologen Solution" J.Electroanal.Chem.(in press).
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[Publications] 仁木 克己: "紫外可視反射分光法による電極表面反応のin situ測定" 電気化学. 61. 382-386 (1993)
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[Publications] S.Imabayashi,T.Nakamura,T.Sagara and K.Niki: "Electroreflectance Study of Redox Reactions of Methylene Blue Incorporated into a Nafion Film" Denki Kagaku. (in press).