1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04555197
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮田 幹二 岐阜大学, 工学部, 助教授 (90029322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 秀行 (株)日本触媒, 川崎研究所, 室長
佐田 和己 岐阜大学, 工学部, 助手 (80225911)
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Keywords | ホスト・ゲスト / 分子複合体 / X線構造解析 / 分子配列 / 面状両親媒性 / 二重層状構造 / 水素結合 / 分子グラフィックス |
Research Abstract |
ホスト・ゲスト複合化によるナノメートル領域の分子操作技術の開発をめざして、前年度の成果をさらに広げ、以下に記すような成果が得られた。 1.ホスト分子の設計をさらに進め、ホストとして多種類のステロイドを合成した。市販の胆汁酸ステロイドを出発原料として、既知の方法で側鎖部分の炭素鎖の長さや官能基、骨格の不斉炭素の絶対配置を変えることにより、数百種類以上のホストを合成できることを示した。 2.上記ホストの複合体形成能を広範囲な有機化合物について調べたところ、ほとんどのステロイド化合物が何らかの有機ゲストと安定なホスト・ゲスト包接体を形成することが明らかとなった。炭素数が二十をこえる有機分子は、数千万の異性体を原理的に持つことを考えると、この実験結果は有機分子がごく一般的に包接能をもつことを示している。 3.包接体の単結晶や粉末のX線構造解析を大規模に行い、分子配列を詳細に調べた。この配列の比較研究により、親水面・親油面を表裏にもつ面状両親媒性化合物に特有な集合様式として、二重層状構造の一般性が明確になった。さらに、両親媒的な不斉面が累積するときに、原理的に可能な方法と観測データとの比較研究が可能になった。 4.コンピュータグラフィックスを用いて、分子間の水素結合を詳細に調べた結果、ステロイドの骨格や側鎖に存在する水酸基の数・位置により、水素結合基の組合せが多様に変化することが明らかになった。三個あるいは四個の組合せについては、理論的な組合せとの対応が可能になった。 5.分子操作技術に必要なホスト・ゲスト複合体の解析システムを、パソコンを用いて構築した。これにより複合体の解析を容易に行え、しかもデータベースを容易に作製できるようになった。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] M.Miyata: "Hydrogen-Bonding Networks in Bilayered Crystals Composed of Facially Amphiphilic Compounds" Molecular Crystal Liquid Crystals. 240. 183-186 (1994)
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[Publications] K.Sada: "Inclusion Phenomena of Glycine-conjugated Bile Acids and the Crystal Structure of 1:1 Complex of Glycodeoxycholic Acid and Tetrahydrofuran" Jorunal of Chemical Society,Chemical Communications. 905-906 (1994)
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[Publications] K.Sada: "Interpretation of Variable Inclusion Abilities of Cholic Acid and Its Derivatives on the Basis of the Crystal Structures of 5b-Petromyzonol" Chemistry Letters. 727-730 (1994)
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[Publications] K.Sada: "Inclusion Crystals of Cholic Acid and Cholanamide with Alcohols:Imoprtance of Hydrogen Bond “Double Hooks"" Chemistry of Materials. 6. 1103-1105 (1994)
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[Publications] K.Nakano: "Guest-participating Reversion of Molecular Arrangements of Asymmetric Bilayers in Cholic Acid lnclusion Crystals" Jorunal of Chemical Society,Chemical Communications. in Press. (1994)
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[Publications] K.Sada: "Channel-type Inclusion Crystalwith Hydrogen Bond 'Hooks' of Deoxycholanamide" Supramolecular Chemistry.
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[Publications] in Press. (1994)
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[Publications] 宮田幹二: "化学総説:超分子をめざす化学" 学会出版センター(印刷中), (1995)
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[Publications] 宮田幹二: "化学便覧応用化学編 第五版" 丸善(印刷中), (1995)