1992 Fiscal Year Annual Research Report
新しいパイ共役高分子,チオフェン-シロール共重合体,の合成と応用
Project/Area Number |
04555203
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉尾 皓平 京都大学, 工学部, 助教授 (60026218)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 靖 信越化学工業株式会社, シリコーン電子材料技術研究所, 主任研究員
|
Keywords | パイ共役高分子 / ポリチオフェン / シロール / 導電性高分子 / 紫外,可視吸収スペクトル |
Research Abstract |
炭素-炭素二重結合が一次元に共役した高分子化合物、パイ共役高分子、は導電性材料、フォトクロミック材料、非線形光学材料などへの応用の可能性を秘めた興味深い化合物群である。本研究は、含ケイ素化環状共役ジエンであるシロール環をポリチオフェン鎖に導入した新しいパイ共役高分子の構築とその光学的、電気的特性を評価し、応用への可能性を探ることを目的としている。特に、電子供与性ヘテロ環であるチオフェンと電子欠損性シロールとの組み合わせによる新しい機能開発が主目的である。 チオフェン-シロール-チオフェン骨格をモノマー単位(チオフェン/シロール比2/1)とするコオリゴマーおよびコポリマー(環総数33個)の合成に成功した。これらはシロール環をパイ共役電子系に導入した最初の例である。チオフェン単独のポリマーに比べて長波長領域に吸収を持っている。また、チオフェン/シロール比3/1(環総数108個)、4/1(環総数205個)ポリマー合成にも成功したが、吸収極大はシロール含量が多いほど長波長側にシフトすることがわかった。ポリマーは単独ではいずれも絶縁体であるが、フィルムをヨウ素でドープ後0.1〜2.4Scm^<-1>程度の導電性を示した。チオフェン/シロール比1/1コポリマーはまだ得られていないが、コオリゴマー(環総数5および7個)の合成には成功している。これらはやはり長波長領域に吸収を持っている。これらの結果から、シロール環がパイ共役高分子の新しい電気的、光学的特性の発現において特異な性質を有していることが明かとなった。本年度の所期の目的をほぼ達成することが出来た。次年度はチオフェン/シロール比1/1コポリマー、シロール単独ポリマーのほか、シクロペンタジエノン環を含むコポリマーの合成などを達成する予定である。
|
Research Products
(1 results)