1992 Fiscal Year Annual Research Report
ルイス酸を活用した新規合成反応による生理活性化合物の合成
Project/Area Number |
04555205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 工学部, 助教授 (80016154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅夫 日本ケミファ研究所, 合成二研究室, 室長
橋本 幸彦 東京大学, 工学部, 助手 (50201710)
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Keywords | シクロプロパンカルボン酸エステル / シス-3,4-置換-γ-ラクトン / シス-2,3-置換-γ-ラクトン / 四臭化チタン / 四臭化スズ / 四塩化チタン / E-カチオンエノラ-ト |
Research Abstract |
これまで続けてきたルイス酸を活用する新規合成反応の開拓研究を基礎に、2,2-ジアルコキシシクロプロパンカルボン酸エステルとアルデヒドとの反応の最適条件を検討した。その結果、ルイス酸として四臭化スズあるいは四臭化チタンを用いてジクロロメタン中-78℃で反応を行なうのが最適であり、極めて高い選択性でシス-3,4-置換-γ-ラクトンが高収率で得られることを明らかにした。さらに、この反応を拡張し、非対称ケトンを求電子剤として用いたところ、これも極めて高い立体選択性で、嵩高いケトンアルキル基あるいはアルケニル基とアルコキシカルボニル基がシスに配置したγ-ラクトンが高収率で得られることを見出した。 一方、2,2-ジアルコキシシクロプロパンカルボン酸エステルと対称ケトンとの反応についても詳細に調べ、この場合には、ルイス酸として四塩化チタンを用い、ジクロロメタン中-78℃あるいはアセトニトリル中-45℃で反応を行なうのが最適であることが分かった。この反応条件により、シス2,3-置換-γ-ラクトンが高選択的且つ高収率で得られることを明らかにした。 これら詳細な検討によって、本反応においては、2,2-ジアルコキシシクロプロパンカルボン酸エステルにルイス酸が作用してE-体のカチオンエノラ-トが中間体として生成し、これがアルデヒドあるいはケトンとの6員環遷移状態を経由して反応が進行すると考えることによって立体選択性を説明できることが分かった。この知見は、本研究の今後の展開に重要な役割を果すものと期待される。 バイオアッセイに供するサンプルはカルボン酸であることが好ましいと考え、3位のエステルの加水分解法を確立した。この方法により、立体の異性化を伴うことなくカルボン酸を得ることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yukihiko Hashimoto: "The Cationic Diels-Alder Reaction.Facile Fovmation of Cationic Species From 2-Oxoalkyl Esters" Chemistry Letters. 1353-1356 (1992)
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[Publications] Shigeru Shimada: "Diasteveoselective Ring-Opening Aldol-Type Reaction of 2,2-Dialkoxycyclopropanecarboxylic Esters with Carbony I Compounds.1.Synthesis of Cis 3,4-Substituted γ-Lactones" Journal of Organic Chemistry. 57. 7126-7133 (1992)