1994 Fiscal Year Annual Research Report
ルイス酸を活用した新規合成反応による生理活性化合物の合成
Project/Area Number |
04555205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 工学部, 教授 (80016154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅夫 日本ケミファ研究所, 創薬研, 室長
橋本 幸彦 東京大学, 工学部, 講師 (50201710)
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Keywords | Lewis酸 / ヨウ化ゲルマニウム / アリル化 / Barber反応 |
Research Abstract |
申請者らはこれまでに、シクロプロパン化合物のLewis酸による開環反応を基盤とするラクトンの立体選択的合成反応の開発と天然物合成への応用,生成物の生理活性の調査を行ってきた。本年度は,さらにLewis酸を活用する新しい合成反応の開発を検討した。 ホウ素やアルミニウム,スズなどの化合物はLewis酸として広く利用されている。これに対して,第4周期元素のガリウムやゲルマニウムの化合物はほとんど合成反応に使用されておらず,興味深い反応性を示すことが期素のガリウムやゲルマニウムの化合物はほとんど合成反応に使用されておらず、興味深い反応性を示すことが期待される。これらの元素の特徴は,還元力の強く極めて活性ではあるが,単離可能な低原子価状態の分子種が存在することである。そこで、二価のゲルマニウム化合物を用いて種々の反応を検討した結果,ヨウ化ゲルマニウム(II)とハロゲン化アリルからin situでアリルゲルマニウム(IV)試薬を調製し,カルボニル化合物と反応させると対応するホモアリルアルコールが得られるBarbier型の反応を見出した。すなわち,ジメチルホルムアミド中,室温でベンズアルデヒドとヨウ化アリルの混合物にヨウ化ゲルマニウム(II)を作用させたところ,ホモアリルアルコールが86%の収率で得られた。一方,臭化アリルを用いた場合には反応が極めて遅かった。そこで系内で臭化アリルをヨウ化アリルに変換させることを目的とし,添加物としてヨウ化亜鉛を共存させたところ,反応はすみやかに進行し,ホモアリルアルコールが85%の収率で得られた。さらに同様の条件下,種々のカルボニル化合物のアリル化反応を検討したところ,アルデヒドに比べてケトンは反応性が低いが,いずれの場合にも良好な収率で目的とする付加物を与えた。本反応は,基本的炭素-炭素結合生成反応の一種であるアリル化反応であり,各種の天然物合成への応用が期待できる。
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Research Products
(1 results)