1994 Fiscal Year Annual Research Report
2次元相関分光法を用いた広帯域局所緩和スペクトロスコピーの開発
Project/Area Number |
04555213
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60159019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 優晴 日本分光K. K, 第1技術部, 技術担当
池田 照樹 日本分光K. K, 第1技術部, 次長
山本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10200809)
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Keywords | 2次元相関 / 赤外分光 / 局所運動 / 配向緩和 / 外場変調 / 強誘電性液晶 / 粘弾性緩和 / 分子ダイナミクス |
Research Abstract |
力学場により変調された分子の局所的配向運動の振幅・位相情報を偏光赤外光を用いて検出し、その同相成分、90°位相遅れ成分の間で相関解析を行うことにより、2次元相関赤外スペクトルが得られる。この2次元相関スペクトルは、従来の分光法では得られなかったローカルな分子配向相関についての新しい情報を含んでいる。本研究では新しく2次元相関スペクトルの間に、外場に対する周波数応答という時間情報を横糸として通すことにより、高分子を構成する各化学結合種の外場変調周波数に対する配向緩和現象、局所運動モード間の運動相関等を、広帯域で測定するための手法・装置の開発を目指してきた。これにより、高分子のグローバルな挙動を、分光学的に特定される高分子の各化学結合種の局所運動ダイナミクスとそれらの運動相関に関する情報をもとに、分子レベルで理解することが可能になる。最終年度にあたる本年度は、研究計画に基づき以下の様に最終的なシステムの評価を行った。 平成4・5年に開発したシステムを用い高分子の局所運動のダイナミクスと材料全体の物性相関、高分子の機能発現に及ぼす局所運動の効果、ポリマーブレンドにおける高分子間相互作用、非線形緩和現象、不均一系における空間相関解析などについて解析を行い、測定システムの評価を行うとともに、アプリケーションの可能性を探索した。具体的には(1)近年、ディスプレイ材料として注目されている強誘電性液晶についての測定を行い、長波長の液晶の揺らぎと局所的な分子運動との相関に着目して実験を行い、その関係について調べた【時間分解赤外分光法を用いた強誘電性液晶の電場配向緩和現象の研究:第20回液晶討論会】。また、液晶の配向緩和のダイナミクスを研究することにより、液晶の配向の素過程を微視的に調べた。(2)赤外分光装置内において、外場として約1kHzまでの周波数の歪みを加えながら粘弾性測定を行える装置を作成した。これにより、赤外分光装置による2次元相関スペクトルに加えて、マクロな粘弾性緩和の情報を同時に測定できる。また、これらの研究をもとに、実用化をふまえた2次元相関分光システムの総合評価を行い、構成をソフト・ハード両面から、より洗練したシステムに改善した。
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[Publications] Hajime Tanaka: "A New Method of Superheterodyne Light Beating Spectroscopy for Brillouin Scattering Using Frequency-Tunable Lasers" Phys.Rev.Lett.73. 1609-1613 (1995)
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[Publications] Jun Yamamoto: "Shear Effects on Layer Undulation Fluctuations of Hyper-Swollen Lamellar Phase" Phys.Rev.Lett.73(in press). (1995)