1993 Fiscal Year Annual Research Report
二分子膜鋳型を用いる無機高分子の精密構造制御ならびに新合成手法の確立
Project/Area Number |
04555221
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
国武 豊喜 九州大学, 工学部, 教授 (40037734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諌山 宗敏 福岡工業技術センター, 主任技師
一ノ瀬 泉 九州大学, 工学部, 助手 (50243910)
君塚 信夫 九州大学, 工学部, 助教授 (90186304)
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Keywords | 二分子膜 / クラスタ- / 混合原子価 / 磁気異方性 |
Research Abstract |
本研究は,二分子膜キャストフィルムを分子鋳型として用い,無機クラスタ-の原子レベルにおける構造制御を行なうための新しい方法論を開発することを目的とする。本年度は,高い分子配向秩序を有するカチオン性二分子膜のキャストフィルム層間において,2種類の金属原子を含むバイメタリッククラスタ-を合成する手法(逐時合成法)の開発に成功した。以下にその概要を述べる。 (i)二分子膜キャストフィルムをNi(CN)_4^<2->やFe(CN)_6^<4->等の金属シアニド水溶液に浸漬すると,イオン交換によりこれらのアニオンが定量的に導入された。さらに得られたイオン交換フィルムをCu^<2+>,Fe^<3+>水溶液に浸漬すると(逐時浸漬法),キャストフィルム層間においてNi(CN)_4^<2->-Cu^<2+>やFe(CN)_6^<4->-Fe^<3+>等のシアノ架橋クラスタ-が形成された。特に後者は,混合原子価状態に特徴的な吸収スペクトルを与え,二分子膜と混合原子価クラスタ-から成る複合体を作製した,はじめての例である。 (ii)Ni(CN)_4^<2->-Cu^<2+>固定化キャストフィルムについてESRスペクトルの磁気異方性を調べたところ,フィルムが磁場と平行に置かれたときには銅イオンのg〓〓〓〓,また垂直に置かれたときにはg〓成分のみが観測され,さらに磁場とフィルムの角度が0゚<theta<90゚のときには,g〓とg〓成分の中間に一つのg値を有するシグナルが観測された。このg値はg(theta)^2=g〓^2cos^2+g〓^2sin^2thetaの関係を満たしており,二次元的 に架橋したNi(CN)_4^<2->-Cu^<2+>クラスタ-は二分子膜表面に平行に配向した,単結晶に匹敵する配向秩序性を有する2次元クラスタ-であることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Kunitake et.al.: "Template‐Sythesis of Dimension‐Diminished Lead Halide Clustevs at the Interlayer of Multibilayer Cast Film" Chemistry Letters. 941-944 (1993)
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[Publications] T.Kunitake et.al: "Preparation of a Self‐Supporting,Multilayered Film of Montmorillonite" Chemistry Letters. 1283-1286 (1993)
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[Publications] 国武豊喜,諌山,宗敏: "無機超薄膜" 高分子. 42. 476-479 (1992)
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[Publications] 君塚信夫,国武豊喜: "有機分子集合体を用いた無機物の構造制御" 化学. 48. 730-731 (1993)