1992 Fiscal Year Annual Research Report
水産生物の血液の有効利用に関する基礎研究(ヘムの高度濃縮抽出と吸着剤への応用)
Project/Area Number |
04555226
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
大久保 惠 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (90132555)
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Keywords | 水産生物 / 血液 / ヘム / 濃縮 / 抽出 |
Research Abstract |
今年度は水産生物血液からヘモグロビンおよびヘム錯体を高度濃縮分離、精製する実用的な方法を確立するための基礎研究を行うことを目的に当該研究を進展させた。 イワシの希釈溶血液(血水)からヘモグロビンの予備濃縮法として、細孔サイズの異なる2種類の限外ろ過膜モジュールを用いて最適条件を検討した。モジュールの組み合わせ方、リサイクル数と濃度の関係について調べ、実用化する上で有効な知見を得た。次に試料予備濃縮液からヘモグロビンおよびヘム錯体を高度濃縮するため、標準試料として市販ヘミン、ヘモグロビンについて界面活性剤、溶媒による選択的抽出条件を決定した。これをもとに試料予備濃縮液について検討した。特にある種のカルボン酸に注目して液性、温度等の効果を調べ、条件により30〜60倍(吸光度測定による分配比で)の濃縮効果があることをつかんだ。あわせて抽出精製物の分光学的測定(UV/VIS FT-IR、MCDの各スペクトル)を行い、ヘモグロビンおよびヘム錯体を確認することができた。またHPLC法における最適な分離分析条件を決定し、当該試料の逆相HPLCによる定量分析を容易にした。 また、水産生物由来のヘム錯体の化学修飾とガス吸着性付与を次年度に計画しているので、そのための基礎研究として含窒素化合物がヘム錯体の側鎖分子とも何らかの吸着作用することを期待しイミダゾール化合物と側鎖構成分子との相互作用も検討した。 なお、ヘモグロビンのアミノ酸組成については、ヘモグロビンの精製の度合いもあり、HPLCを用いたアミノ酸分析法で引き続き検討を進めている。
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