水産生物の血液の有効利用に関する基礎研究-ヘムの高度濃縮抽出と吸着剤への応用-

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04555226
• Research Institution: Hachinohe National College of Technology
• Principal Investigator: 大久保 恵 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (90132555)
• Keywords: 水産生物 / 血液有効利用 / ヘム / ヘモグロビン / 液々抽出 / 濃縮 / 加水分解アミノ酸

Research Abstract

最終年度にあたる平成6年度は主として次の2項目に研究を進め、魚血水の有効利用に関する基礎的な研究を仕上げた。
前年度は液液抽出法でヘモグロビン希釈液および魚血水からヘモグロビン(Hb)を高度に濃縮する条件を明らかにし、Hbの分離抽出を可能にした。今年度は濃縮に用いる抽出剤の最適な回収循環方法を検討し、システム化のための基礎的研究を行った。Hb抽出後に抽出剤として用いるフッ素カルボン酸などを回収し、再度新しい魚血水等の試料液を抽出するために最も効率的な方法を検討した。具体的にはHb濃縮相とHb非濃縮相に分けて、それぞれについて溶媒抽出、蒸留、イオン交換、限外ろ過、ゲルろ過、pH調整不溶化などの各種の方法を検討した。その結果、Hb濃縮相には溶媒添加によるフッ素系カルボン酸析出が、Hb非濃縮相には弱塩基形陰イオン交換クロマトグラフ法が最適であることを見いだした。両相合わせた抽出剤の回収率は93%であった。これらの回収方法を組み込んだ抽出剤の循環利用サイクルを考案し、血水中ヘモグロビンの濃縮分離システム構築における問題点を解決した。
また、魚血水の保存中の加水分解が魚血水のアミノ酸としての利用価値に大きく影響を与えるため、PICO-TAG法で保存方法の異なる試料の加水分解アミノ酸の組成分析を行った。新鮮血水と同程度のアミノ酸組成を1年間維持するには少なくとも-26℃で血水の冷凍保存を要することが確認された。