1994 Fiscal Year Annual Research Report
組換えDNA技術利用によるウイルス病抵抗性リンゴ台木植物の形質転換法の開発
Project/Area Number |
04556006
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高橋 つよし 岩手大学, 農学部, 教授 (60003753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青葉 幸二 岩手大学, 農学部, 教授 (40240650)
吉川 信幸 岩手大学, 農学部, 助教授 (40191556)
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Keywords | リンゴ高接病 / リンゴウイルス / ウイルス抵抗性台木 / 形質転換植物 |
Research Abstract |
本研究は,リンゴ高接病に抵抗性をもつリンゴ台木植物の形質転換法を開発し、有効な防除法を確立する目的で行った。病原ウイルス(ACLSV)と感受性台木であるマルバカイドウの組み合わせを選び、次の成果を得た。 1.平成4年度から開始したACLSVゲノムのコートタンパク質(CP)遺伝子の導入実験では、形質転換したタバコで多量のCPが発現することが明らかになった。また形質転換したマルバカイドウの葉片からもウエスタンブロット分析でCPが検出され、現在このマルバカイドウのシュート(17個体)を育成している。 2.ACLSVゲノムの50Kタンパク質領域(ORF2)に相補的なアンチセンスDNAを合成し、これをAgrobacterium tumefaciensのTiプスミドに連結させて、タバコおよびマルバカイドウ細胞に導入した。培養中のシュートのうち、発根培地で発根したタバコ個体についてPCR法により遺伝子が導入されているかどうかを分析したとろ、25個体から50Kアンチセン遺伝子が検出された。また、マルバカイドウについては2個体のシュートが得られ、現在育成中である。本年度購入した紫外/可視分光光度計はPCRやウエスタンブロット分析の核酸やタンパク質の定量に利用した。 3.上記1および2の実験で、予備実験用のタバコでは目的とした遺伝子が導入された植物体が多数得られているが、マルカバイドウでは現在植物体を育成中である。これは、マルバカイドウ細胞の培養条件、再分化系の確立になお検討の余地が残されているためで、早急に解決すべき課題である。本研究ではCP遺伝子を導入したマルバカイドウの葉片でCPの発現を確認しているが、今後、50Kアンチセンス遺伝子も含めて、植物体での遺伝子の発現およびウイルスに対する抵抗性を確認し、実用化の可能性について検討を進めていきたい。
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[Publications] 佐藤 馨: "リンゴクロロティックリーフスポットウイルスゲノムのORF2がコードするタンパク質の性質" 日本植物病理学会報. 60. 380-381 (1994)
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[Publications] Sato kaoru: "Expression,subcellular loction and modification of the 50K protein encoded by ORF2 of apple chlorotic leaf spot trichovirus genome" Journal of General Virology. 76(in press). (1995)