1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04557009
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
遠藤 政夫 山形大学, 医学部, 教授 (40004668)
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Keywords | Org30029 / Y-20487 / 陽性変力作用 / cyclic AMP / Ca感受性増強 / 細胞内Ca濃度 / カルバコール / 強心薬の作用機序 |
Research Abstract |
新しい作用機序による心不全治療薬としてcAMP蓄積を介する強心薬は非常に重要な地位を占めている。選択的phosphodiesterase(PDE)阻害薬は従来の非選択的阻害薬と比較してcAMP蓄積が少ないため不整脈発生やCa過剰負荷などの副作用が少ないことが基礎実験的には証明され治療薬としての効果が期待されている。しかしPDE isoenzymeの機能修飾における意義の詳細はまだ確立されていない。cAMPを高親和性で選択的に分解しcGMPで抑制されるPDE IIIの阻害はイヌを含む哺乳類において陽性変力作用と血管拡張作用に緊密に関連性を持つことが明らかにされている。一方高親和性でcAMPを選択的に分解しロリプラムおよびRo20-1724で選択的に阻害されるPDE IVの機能調節における役割はほとんど判っていない。我々はPDE isoenzymeの機能調節における意義は哺乳類において顕著な種差を示すことを明らかにした。ラット心臓においてPDE IVはβ刺激を介するcAMP蓄積の増強に重要な役割を演じておりY-20487はPDE IIIとIVを同時に遮断することにより従来のこのクラスの強心薬とは異なったユニークな薬理学的なプロフールを示す。基礎的データはこの強心薬の臨床的有用性の検定評価は高い興味と期待を持たせるものである。 cAMP非依存性機構としてCa sensitizerは(1)activation energyを必要としない(2)Ca過剰負荷を起こす危険性がないという長所を有する。したがって基礎的な見地からはこのクラスの強心薬は心不全治療薬としての効果が非常に期待される。現在臨床的に使用されている薬物はまだないが我々は新しい強心薬Org30029はcAmp依存性機構を選択的に遮断するカルバコールの存在下でCaトランジェントの増加を全く伴わずβ刺激による最大反応よりもさらに高い最大反応を惹起することを明らかにした。Org30029は従来のこのクラスの強心薬の中で最大効果がもっともの大きくその臨床使用における効果が大いに期待される。
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[Publications] 遠藤 政夫: "強心薬の分子薬理" 治療学. 26. 817-821 (1992)
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[Publications] 遠藤 政夫: "心筋細胞機能調節機構と細胞内カルシウム:新しい心不全治療薬の作用機序解明" 臨床薬理の進歩'92別刷. 13. 3-22 (1992)
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[Publications] 遠藤 政夫: "強心薬の使い方ー基礎の立場からー" 臨床医. 18. 46-49 (1992)
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[Publications] 遠藤 政夫: "心筋細胞におけるシグナル・トランスダクションとカルシウムー強心薬の作用機序ー" 臨床薬理. 23. 349-354 (1992)
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[Publications] 片野 由美: "Effects of cardiotonic quinolinone derivative Y-20487 on the isoproterenol-induced positive inotropic action and cyclic AMP ac-cumulation in rat ventricular myocardium:comparison with rolipram,Ro 20-1724,milrinone,and isobutylmethylxanthine." J.Cardiovasc.Pharmacol.20. 715-722 (1992)
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[Publications] 川畑 陽一: "Effects of the positive inotropic agent Org 30029 on developed force and aequorin light transients in intact canine ventricular myocardium." Circ.Res.72. 597-606 (1993)
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[Publications] 片野 由美: "Cyclic AMP metabolism in intact rat ventricular cardiac myocytes:Interaction of carbachol with isoproterenol and 3-isobutyl-1-methylxanthine." Mol.Cell.Biochem.(1993)
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[Publications] 遠藤 政夫: "Regulation of intracellular Ca^<2+> transients of myocardial cell.In:Molecular Biology of the Myocardium,edited by M.Tada,Scientific" Scientific Scientific Press., 16 (1992)