1993 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の臨床化学的・分子遺伝学的診断法の開発
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04557013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 國寛 京都大学, 医学部, 助教授 (00027070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 邦夫 旭化成工業株式会社, 診断薬事業部診断薬研究部, 課長
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / APP / プロテアーゼインヒビター / スプライシング / アポリポ蛋白E / 遺伝子型 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
初年度の研究成果に基づき、第2年度はさらに遺伝子診断法の可能性を検討した。 1.βアミロイド前駆体(APP)遺伝子の発現解析-既に初年度の研究にて、アルツハイマー病(AD)患者脳におけるAPP遺伝子トランスクリプトの選択的スプライシングの変化を見いだし、Kunitz型プロテアーゼインヒビター(KPI)をもつタイプのAPPの発現亢進を明らかにしたが、今年度の研究にてこの変化が大脳灰白質に特徴的でアミロイド沈着と深く関わっていることを示した。 2.AD患者におけるAPP遺伝子の塩基配列の検討-既に家族性ADのいくつかの家系でAPP遺伝子の突然変異が明らかにされているが、われわれは上記1のスプライシング変化がAPP遺伝子の変異に起因する可能性を検索する目的で、APP遺伝子のスプライシングに関与するイントロンの塩基配列を解析した。ただしこれまでに得られた結果では、AD患者に特異的な変異は認めず、遺伝子診断法の可能性については今後の解析待ちである。 3.AD患者におけるアポリポ蛋白E(apoE)の遺伝子型の検討-既に欧米ではAD発症の危険因子としてapoE4が報告されているが、われわれは日本人AD患者においてもこのことが当てはまることを明らかにした。特に、E4をホモで持つことがAD発症に強く関与していることを示したが、このことは遺伝子診断法の可能性を強く示唆するものである。
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[Publications] Tanaka,S.: "Age-related change in the proportion of amyloid precursor protein mRNAs in the gray matter of cerebral cortex" Neuroscience Letters. 163. 19-21 (1993)
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[Publications] 上田 國寛: "臨床検査におけるPCR(1)" 医学検査. 42. 892-895 (1993)
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[Publications] 上田 國寛: "臨床検査におけるPCR(2)" 医学検査. 42. 1008-1010 (1993)
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[Publications] 上田 國寛: "遺伝子解析の方法" からだの科学. 173. 72-75 (1993)
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[Publications] Ueda,K.: "Gene diagnosis of Alzheimer's disease." J.Dent.Res.in press.
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[Publications] 田中 静吾: "老年期の痴呆シリーズ(第11章 痴呆と遺伝)" 中央法規出版, 248 (1993)
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[Publications] 上田 國寛: "臨床家のための遺伝子技術解説(上田國寛 編)" 医学の世界社, 203 (1993)