1994 Fiscal Year Annual Research Report
ドパミン受容体機能分子発現制御によるパーキンソン病の新しい薬物治療の開発
Project/Area Number |
04557037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金澤 一郎 東京大学, 医学部(医), 教授 (30110498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 進 東京大学, 医学部, 助手 (90195438)
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Keywords | ドパミンレセプター / ヒトゲノミックDNA / プロモーター解析 / 線条体細胞培養 / 黒質細胞培養 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
パーキンソン病の新しい治療の原理を見出すことを目的として、ヒトドパミンレセプターの遺伝子解析と黒質ニューロンの培養系を用いた神経栄養因子の解析を行なってきた。 (1)ヒトドパミンレセプター(D_<1A>)の染色体遺伝子を単離し、そのプロモーター解析を行なった。まず、ヒトD_<1A>のcDNA塩基配列からプライマーを合成し、ヒトゲノミックDNAからPCR産物をえた。これをプローブとしてヒトゲノミックDMAライブラリー約90万個をスクリーニングし、約40個の陽性クローンを単離した。これらのファージDNAから前述のプライマーでPVR反応を行ないD_<1A>をコードするクローンを選択し、最終的にシーケンスで確認した。得られた約20kbのクローンにはD_<1A>の2個のエクソン全長が含まれ、その上流域も約10kb含まれていた。そこで、米国NIHからこのD^<1A>遺伝子のエンハンサー領域の遺伝子の供与をうけ、その転写調節機構を調べるために、EC細胞P19のレチノイン酸による神経細胞への分化誘導系を用いて、プロモーター解析を始めた。同時に、細胞導入法を用いてD^<1A>遺伝子を導入し、POU転写因子群がD^<1A>の転写に影響を与える可能性についても解析を行なった。その結果、興味深いことにその一部に明らかなサプレッサーが含まれていることを世界で初めて見出した。 (2)大脳皮質・線条体・黒質(実際にはドパミン含有細胞を含む中脳腹吻側部)のスライスの無血清・共培養に成功した。胎生(E)14日のラットから採取した場合にはドパミン細胞は遊走して中脳部から抜け出すが、E15から採取した場合には中脳内に止まって突起を線条体へ伸ばし、線条体内でも編目状の突起を張り巡らす。中脳の単独培養では突起進展も乏しく、線条体由来の液性因子、例えば神経栄養因子の存在が示唆される。現在はこのスライス標本を用いて免疫組織化学的に細胞の特性を検討している。
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[Publications] 村田美穂,金澤一郎: "Dopamine receptorの分子生成物学と臨床的意義" Ammual Review 神経 1994. 12-20 (1994)
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[Publications] 金澤一郎: "Parkinson病の病態解明の現状" 内科. 73. 805-811 (1994)
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[Publications] Okazawa H.,Kamei M.,Imafuku I and Kanazawa I: "Gene reguration of trkB and trkC in the chick retina by Iight/darkness exposure." Oncogene. 9. 1813-1818 (1994)
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[Publications] Kanazawa I: "Short review on monoamine oxidase and its inhibitors." Eur Neurol (suppI 3). 34. 36-39 (1994)
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[Publications] Yanagisawa N,Kanazawa I,Goto I,Kowa H,kuno S,Mizuno Y,・・・・・: "Seven-year follow-up shudy of bromocriptine therapy for Parkinson′disease." Eur Neurol(supp1 3). 34. 29-35 (1994)