1993 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン標識長鎖不飽和脂肪酸の開発とPETを用いた膜脂質代謝の画像化の研究
Project/Area Number |
04557062
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今堀 良夫 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80191899)
寺島 孜郎 (財)相模中央化学研究所, 副所長
成相 直 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00228090)
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Keywords | 燐脂質 / 脂肪酸 / ドコサヘキサエノエン酸 / アラキドン酸 / ポジトロンCT / 脳代謝 / サイクロトロン / ホスホリパーゼ |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の研究において合成法を確立し、静脈注入後のラットの生体における動態に関する研究を行なった11C標識ドコサヘキサエノエン酸(^<11>C-DHA)を神経疾患のイメージングに用いるための基礎を築くための実験を開始した。 1)ラット片側中大脳動脈閉塞モデルにおいて、経時的に^<11>C-DHAの脳内取り込みをオートラジオグラフィー法にて検討した。これによって、閉塞30分後に既に閉塞側の脳の広い範囲で^<11>C-DHAの取り込みの増加が生じているのを観察できた。この左右差は2時間後さらに増大していたが慢性期においては左右差を認めなかった。一般に、血流量は低下し、脳血管透過性の亢進を生じるとされる以前の時間に生じているこうした変化は我々の理論では、phospholipaseA_2の活性亢進に由来すると考えている。 2)また、やはり細胞障害における虚血あるいは、phospholipaseA_2の活性亢進といったことが問題となるであろう神経外傷時の早期モニタリングに脂肪酸イメージングを用いることの可能性を考え、当科で開発したfluid percussion modelを用いた、脳循環代謝実験を開始した。ただ、このモデルは当科で初めて開発したもので、脂肪酸代謝に進む以前の、組織変化、血流、糖代謝といった、基礎的問題をモニターしその確立をはかっている段階で、次年度にオートラジオグラフィーを用いた実験をまとめることが可能と考えている。 3)トレーサーの開発状況からは、次の段階として猿などの大型動物に進むことも可能と思われたが、実験環境の制限から今研究年度内にそこに進むことができなかった。また、同時に今年度より脳神経の脂肪酸イメージングの研究を米国NIHの神経科学研究室と共同で行うための文部省科学研究費国際共同研究費を受けることができ、現在及び将来の研究を能率良く進めるための方針を決定することができた。それにより、ヒトでのイメージングは当面NIHで脳腫瘍を主体に進め、それに東京医科歯科大学脳神経外科教室メンバーが参加する。日本では、そのデーターを移入することで(トレーサー自体の合成は可能であることを既に示したので)ヒトでの利用を促進していく。それ以前に、先述のモデルや癲癇モデル等を含め実験を行い応用範囲を拡大していくための基礎づくりを継続して行うことを決定し実行している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tadashi Nariai et al.: "Difference in rates of incorporation of intravenously injected radiolabeled fatty acids into phospholipids on intravenously implanted tumor and brain in awake rats." Clin Exp Metast. 12 (in press). (1994)
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[Publications] Tadashi Nariai et al.: "Surgically induced angiogenesis to compensate for hemodynamic cerebral ischemia" Stroke. 25 (in press). (1994)
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[Publications] Tsutomu Asano et al.: "Effect of endothelin-1 as growth factor on a human glioma cell line;its characteristic promotion of DNA synthesis." J Neurooncol. 17 (in press). (1994)
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[Publications] Tadashi Nariai et al.: "Intravenously injected radiolabelled fatty acids image brain tumour phospholipids in vivo;differential uptakes of palmitate,arachidonate and docosahexaenoate" Clin Exp Metast. 11. 141-149 (1993)
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[Publications] Nobuhisa Nagano et al.: "Extracellular matrix modulate the proliferation of rat astrocytes in serum-free culture." Glia. 8. 71-76 (1993)
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[Publications] Nobuhisa Nagano et al.: "Invasion of experimental rat brain tumor:early morphological changes following microinjection of C6 glioma cells." Acta Neuropathol. 86. 117-125 (1993)
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[Publications] 成相 直: "キセノンCTとPET" 鈴木龍太他編、キセノンCTによるClinical CBF Measurement、にゅーろん〓, 191-201 (1993)