1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04557080
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 俊英 長崎大学, 歯学部, 教授 (60013968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 隆 埼玉工業大学, 工学部, 講師 (90234517)
宮本 武典 長崎大学, 歯学部, 助手 (10167679)
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Keywords | 味細胞 / イオンチャネル / Ca^<2+>依存性 / cAMP依存性蛋白キナーゼ / ポリ塩化ビニル / イオノフォア / アゾレクチン / センサーキット |
Research Abstract |
1.単離味細胞を用いた実験:前年度までにいくつかのチャンネルの特質と味細胞上での分布を明らかにしてきた。本年度はこれらについて更に詳細に調べた。(1)80pSのK^+チャネルはいわゆるCa^<2+>依存性K^+チャネルであることを確認した。(2)40pSのK^+チャネルはexcised-patchでもcAMPとATPの共存下で抑制されたが、cAMP依存性蛋白キナーゼ(PKA)の阻害ペプチドによって抑制は解除された。このことは、PKAがこのチャネルの近傍の膜に強く結合された形で存在することを示唆する。(3)9pSおよび36pSの、Na^+にも比較的高い透過性を持つK^+チャネルが味受容膜に見いだされた。その活性は細胞外のNa^+濃度に依存した。(4)30pS非選択性カチオンチャネルは、Na^+やK^+のような1価陽イオンだけでなくCa^<2+>やBa^<2+>などの2価陽イオンにも同等の透過性を持つ。このチャネルの活性はCa^<2+>依存性でもあるので、通過したCa^<2+>がそれ自身を活性化する可能性が示唆された。 2.人工膜を用いた実験:(A)で得られた結果に基づいてポリ塩化ビニル(PVC)膜に各種イオノフォアを再構成することにより、味細胞応答をシミュレートし、塩刺激に対する味覚センサー製作の可能性を調べた。方法はPVC250mg,イオノフォア5mg,可塑剤としてフタル酸ジ-n-オクチル(FADO)500mgをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、テフロン・シャーレ中でTHFを除去して作製した。イオノフォアとしてK^+選択性の高いバリノマイシンを用いるとカリウム塩のみを識別できる。これにアゾレクチンを加えると、Na^+塩に対しても透過性が生じた。2価陽イオンに対する透過性を有するモネンシンを加えると、高濃度領域で2価と1価が識別された。これらのイオノフォアの適当な割合での混合によって味細胞の塩応答をシミュレートできるなら、PVC、FADO、THFおよびイオノフォアからなるセンサー・キットの実用化も期待できる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Sato,T.,et al.: "Receptor potential of the frog cell in response to bitter stimuli." Physiol.Behav.56. 1133-1139 (1994)
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[Publications] Okada,Y.,et al.: "Activation of a cation conductance by acetic acid in taste cells isolated from the bullfrog." J.Exp.Biol.187. 19-32 (1994)
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[Publications] Fujiyama,R.,et al.: "Differential distribution of two Ca^<2+> -dependent and -independent K^+ channels throughout receptive and basolateral membranes of bullfrog taste cells." Pflugers Arch.429. 285-290 (1994)
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[Publications] 熊澤 隆 他: "ウシガエル乳頭中のイオンチャネル." 日本味と匂学会誌. 1. 196-199 (1994)
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[Publications] 宮本 武典 他: "Na^+依存性K^+チャネルのカエル味細胞塩応答への関与." 日本味と匂学会誌. 1. 200-203 (1994)
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[Publications] 藤山 理恵 他: "カエル味細胞膜におけるカチオンチャネルの特性." 日本味と匂学会誌. 1. 204-206 (1994)
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[Publications] 坂田 三弥,他: "基礎歯科生理学 第2版" 医歯薬出版, 428 (1994)
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[Publications] Kurihara,K.et al.: "Olfaction and Taste XI" Springer-Verlag, 864 (1994)